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【こんな映画でした】379.[ルート・アイリッシュ]

2021年10月15日 (金曜) [ルート・アイリッシュ](2010年 ROUTE IRISH イギリス/フランス/ベルギー/イタリア/スペイン 109分)

 ケン・ローチ監督作品。イラク戦争における英国人傭兵会社とそこで働く傭兵たちの話。民間人・民間企業である軍事会社とでも言うのか、その存在を読んで知ってはいた。実態のほんの一面だけだが、そのえげつなさを描く。それでも十分に、このアメリカの起こした戦争の酷さが見て取れる。実に酷い。

 ストーリーとしては、イギリスでは収入も少ないので一旗揚げようと主人公ファーガスが親友フランキーを誘ってバクダッドへ。そこでフランキーが殺されるという事件が起き、その真相をファーガスが探る。

 一旦、真相をつかみ犯人と目される人物を特定して復讐をするのだが、その後新たな事実を聞くことに。本当の犯人・黒幕を知ることになる。彼をベンツのSUVもろとも爆破し、ファーガスも自殺して終わる。

 何度も出てくるのは「マズい時に、マズい場所へ」。最後の爆破でもそのメモを開いてみた途端に爆発する。

 この原題は「ルート・アイリッシュ」という米軍管轄地域(グリーンゾーン)とバクダッド空港とを結ぶ12キロの非常に危険な道のことを言うらしい。このルート・アイリッシュをフランキーは、何度も顧客を護衛して車で走る仕事をしていたようだ。

 最終的になぜフランキーが銃撃されて死んだのかは、整備士の話から判明する。つまりフランキーの乗っていた車で襲撃後炎上したものとしての写真が残されていたが、それは日本車で装甲板もあり安全な車であったらしい。ただその写真は、あくまでも会社側が提供したものであった。

 もう一枚の別の車の写真を見た整備士は、韓国製でとても安全とは言えない車なので使用しない方が良いと進言したものだったということだ。つまりすり替えられていたということだ。装甲の不十分な車でフランキーと残り三人のコロンビア人たちは仕事をさせられ、銃撃され、死亡したというわけである。

 このフランキーとあと三人とは、9月1日に誤ってタクシーを銃撃し、乗客を皆殺しにしてしまった際のメンバーであった。この件に付きフランキーは過失を認め、家族に賠償すべきだと強く主張したらしい。

 これを嫌って会社側はわざと危険なルート・アイリッシュを、安全性に問題のある車で行かせ、要するに口封じを図ったということなのだ。これを理解したファーガスはラストで黒幕の会社経営者を爆殺するということに。

 当時、イラクではこのような民間の軍事会社が数多くあったようだ。ここではイギリスだが、もちろんアメリカの会社も。そして彼らは法的に(どこの法律になるのだろう)現地のイラク人たちを殺しても罪を問われない、つまり免責されるということだったらしい。酷いことだ。

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