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【こんな映画でした】149.[善き人のためのソナタ]

2010年 5月10日 (月曜) [善き人のためのソナタ](2006年 DAS LEBEN DER ANDEREN THE LIVES OF OTHERS ドイツ 138分)

 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督作品。レンタル。ベルリンの壁が崩壊する7,8年前の東ドイツの有り様が描かれている。自由がなく特権を持つものが存在し、芸術をふくめ何もかもを支配する。実に息苦しく、観ていて息が詰まりそうであった。辛い映画である。

 しかし、独裁国家の常として、このような社会が生み出されることは、歴史の教訓として知っておかねばならない。もちろん単純な独裁国家に限らず、見かけは民主国家に見えてもその実態は柔らかいファシズムに覆われている場合もある。

 この主人公のような「心」を持つ人が、当時の東ドイツに存在し得たかどうかは疑問だが、そうであってほしいという願望は理解できる。

 所詮、人は恐怖と甘い汁に打ち克つことは難しい。そして私も、私たちもそのような状況に置かれたら簡単に転ぶかも知れないのだ。実に怖い映画、いや怖い現実を突きつける映画である。

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