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【こんな映画でした】301.[大いなる遺産]

2021年 6月27日 (日曜) [大いなる遺産](1998年 GREAT EXPECTATIONS アメリカ 112分)

 

 アルフォンソ・キュアロン監督作品。まず気になる原題だが、「GREAT EXPECTATIONS」で「大いなる」は良いとして、次の「EXPECTATIONS」は「期待されるもの、期待、期待値、予想、有望な見込み、可能性」なのにと思っていたら、何と複数形で「相続の見込みのある遺産」のことを言うのだ、と。また古語でもあるらしいが。つまりベタに言うなら「莫大な遺産」ということ。それを邦題のようにしたのは、やや羊頭狗肉(文学的すぎる)の感があるか。難しいものだ。

 さて原作はチャールズ・ディケンズのもので、この映画ではいろいろと翻案してあるようだ。主人公は画家になるとか。相手の女の子の名前はそのままでエステラであった。子役(ラクエル・ボーディン、撮影当時11歳で今は引退しているようだ)がとても色気があって怖いような可愛さであった。

 それに比べると大人になったエステラ役(グウィネス・パルトロー、撮影当時26歳)は厳しい。何か物足りものを私は感じる。それぞれの好みではあるが。それでも彼女の映画は二本観ている。[フック](1991)でウェンディ、[恋におちたシェイクスピア](1998)では主役であったが忘れていた。同じ年の映画なのにイメージが違うということは、演出の違いということになる。つまり今作ではやや蓮っ葉な品のない美しさを演じているということか。

 構えて観たわりには拍子抜けの感。拾いものはエステラ役のラクエル・ボーディン。その後の出演作が少ないのが残念だ。

 内容的には、エステラの大金持ちの叔母が回想する中味も凄い。42歳で結婚するべくその日に待っていたのに、男性は逃げてしまったと今から26年前のことをフィンに話す。概して内容に重み・深みはなく、「腐ったトマト」の評も37%、もっともオーディエンスは78%。一般受けする要素はタップリある。その分、映画としての中味がいま一つということになるのだろう。

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