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【こんな映画でした】39.[バーディ]

2022年 3月 5日 (土曜) [バーディ](1984年 BIRDY アメリカ 120分)

 アラン・パーカー監督作品。バーディ役のマシュー・モディーン(撮影当時24歳)は[ホテル・ニューハンプシャー](1984)で観ているようだ。あと親友アルをニコラス・ケイジ(撮影当時20歳)。原題の意味は「鳥のような」という形容詞。主人公の名前として、アルは「バーディ」と呼んでいる。

 オープニングシーンから、その異様な鳥のようなポーズをとるバーディを映し出す。さてこの映画は一体何なんだろう。これが一読ならぬ一瞥(?)しての正直な感想。

 主人公は、ベトナム戦争の後遺症による精神障害のある患者として軍関係の病院に収容されているようだ。しかしそれが明らかになるのは、映画(120分)の終わり、残り20分くらいのところで(アルは先に出兵し、負傷するシーンがあった)。要するにこの親友二人は、ともに負傷してアメリカに帰還している。ではなぜアルとバーディが再会することになるのか。

 それはバーディが、精神障害を偽装しているのではないかとの疑いが軍に持たれたからだ。そこで親友のアルが呼ばれ、それを確かめさせようと軍の上層部はする。そのバーディとアルとのやりとりが、高校時代と今とをフラッシュバックさせながら見せていく。

 そもそもはどのような切っ掛けで、バーディが鳥好きになったのか。人間嫌いのせいで、鳥に憧れを持っているのかもしれない(そのような人はバーディに限らず、世の中には一定数いるだろう)。そのような思いとベトナム戦争での恐怖が彼をして、人間として生きたまま鳥のように時間を過ごさせる事になる。個室内でもじっと様々な鳥のような恰好をしているのだ。

 ラストシーン。二人でバーディの部屋から逃げだし、屋上へ出て、そこからバーディが向こうの空へ、それこそ鳥のように跳躍する。アルも観客も一瞬、息を呑む。アルが駆けつけると、跳躍した先は棟続きの別棟の屋上。落差もほとんどない。要するにジャンプして隣の屋上に飛び移っただけのことだった。アルにバーディがニコッとして、映画は終わる。観客もホッとする。しかし。

 バーディは正気に戻ったということか(アルから見れば)。バーディ本人からすれば、ようやく戦争の恐怖のトラウマから脱することができるようになった(なりかけた)、ということかもしれない。もちろん彼ら二人は、次の瞬間には拘束されて、それぞれ病室に戻されることになったではあろうが。

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