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【こんな映画でした】292.[悪魔の往く町]

2021年 4月 4日 (日曜) [悪魔の往く町](1947年 NIGHTMARE ALLEY アメリカ 111分)

 「サスペンス映画コレクション 名優が演じる犯罪の世界」の一枚。エドマンド・グールディング監督作品。初めて。主役スタンはタイロン・パワー(撮影当時32歳)、何ともいえな雰囲気を持つ俳優だ。その妻となるモリーをコリーン・グレイ(撮影当時24歳)、さほど目立ちはしないが良い感じ。それに対して悪女というべき精神科医役はジョーン・ブロンデル(撮影当時40歳)。結局、この精神科医の手玉に乗せられてスタンは身を破滅させられてしまうことに。ラストシーンには救いが用意されてはいたのだが。

 よくこんな映画が作れたものだと思う。つまり精神科医というものと、見世物小屋の読心術師のようないかさま師(詐欺師とも言える)とを対比させているのだ。

 解説には「見せ物巡業の一座で活動するスタン。読心術をジーナから教わり恋人のモリーとともに一座から独立したが、読心術師として人気を博していく一方で、詐欺まがいの手法にまで手を出しはじめてしまう。」と。

 エンドマークが出る直前に団長がスタンを評して、「背伸びしすぎたのだろう」、と。まさしくその通りだ。それにしても精神科医の女医が何枚も上手であった。怖いほどに。そしてその手段として精神科医であることを最大限に利用しているのだ。本来なら医者の倫理規範に反することのはずだが。

 邦題がどうもシックリこない。原題の「NIGHTMARE」には「悪夢」と「恐怖」の意味もあるようなので、「恐怖の裏通り」という感じに解釈してもいいのかもしれない。あと精神科医がスタンを騙す時に、あなたが言っていることは「幻覚」だ、つまり「悪夢」だとして、スタンを精神病患者に仕立て上げてしまうわけだ。スタンがこの精神科医の部屋に窓から侵入してきた時、家人にスタンのことを「患者」だと言っているのだ。

 スタンやその妻モリーにとって、これらの状況は「悪夢」だったということでもあるか。人間の貪欲に基づく悪意というものは、凄まじいものだということだ。そしてそれは永遠に不滅(?!)なわけだ。

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