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【こんな映画でした】313.[セプテンバー11]

2021年 2月 4日 (木曜) [セプテンバー11](2002年 11'09''01 - SEPTEMBER 11 フランス 134分)

 『続 ヨーロッパを知る50の映画』(狩野良規 国書刊行会 2014年)に紹介されていた一本。内容はやはり重い。11人の監督によるオムニバス。この映画が作られた切っ掛けは言うまでもない、あのニューヨークでの「9.11」である。

 映画が作られた頃は、この事件が軍産による陰謀であったとは誰も夢にも思っていなかったことだろう。現在もこの事件が仕組まれたものだという「事実」は明らかになっていない。未来永劫というか、アメリカ合衆国の覇権が続く限り、ケネディ大統領暗殺事件と同様に明らかになることはないだろう。

 簡潔に言えば、お金のためにこのようなことを企て、多くの人を死に追いやり、世界中に差別をまき散らすことを平気でやるということ。どこまで人間というのは、悪に徹することができるのかと慨嘆するのみ。平和も善も、その実行は難しい。それはこれまでの歴史を見れば明白だ。

 11本のなかにはアメリカに住むイスラム教徒が白い目で見られているものも描かれている。チリのアジェンデ政権に対するアメリカによるクーデターも、その記録フィルムがケン・ローチ監督のフィルムの中に挿入されていた。残酷この上ないものだ。同じナショナリズムを持つ者どうしでも、このように金の前には平然と殺していく。人間というのはどうしようない動物である。

 11人の監督は、サミラ・マフマルバフ(イラン編)、クロード・ルルーシュ(フランス編)、ユーセフ・シャヒーン(エジプト編)、ダニス・タノヴィッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ編)、イドリッサ・ウエドラオゴ(ブルキナファソ編)、ケン・ローチ(イギリス編)、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(メキシコ編)、アモス・ギタイ(イスラエル編)、ミーラー・ナーイル(インド編)、ショーン・ペン(アメリカ編)、今村昌平(日本編)。

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