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【こんな映画でした】538.[避暑地の出来事]

2022年 8月23日 (火曜) [避暑地の出来事](1959年 A SUMMER PLACE アメリカ 130分)

 デルマー・デイヴィス監督作品。初めて。[邂逅(めぐりあい)](1939)とそのリメイクの[めぐり逢い](1957)の脚本家の一人であった。他に監督した作品は観ていない。さてそれはともかく、この映画は何よりそのテーマソング、映画音楽で大昔から知っていた。特にパーシー・フェイス・オーケストラの編曲・演奏「夏の日の恋」が有名であり、私にすれば最も良いアレンジだと思う(すべてを聴いたというわけではないが)。

 実際にその音楽の挿入されているこの映画を観ることができたのは、1990年7月28日のこと(テレビ放映)。ほぼすっかり忘れていた。当然のことながらオープニングシーンは、海岸に打ち寄せる白波。場所はメイン州パイン・アイランドとのこと。

 出演俳優で知っていたのは、トロイ・ドナヒュー(撮影当時23歳)だけであった。主役ケンはリチャード・イーガン(撮影当時38歳)、その娘モリーをサンドラ・ディー(撮影当時17歳)、その妻をコンスタンス・フォード(撮影当時36歳)。

 パイン・アイランドでホテルを営むバート役をアーサー・ケネディ(撮影当時45歳)、[エルマー・ガントリー/魅せられた男](1960)・[アラビアのロレンス](1962)・[ミクロの決死圏](1966)を観ている。その妻シルヴィアをドロシー・マクガイア(撮影当時41歳)、[紳士協定](1947)で観ていたため顔になじみがあった。そして彼らの息子ジョニーがトロイ・ドナヒュー。

 このDVDはアメリカ合衆国からの中古。日本国内では10年前に発売されているようだが、おそらくロットが少なかったのだろう、中古があったが高価であった。もっとも、この手に入れた中古も安くはなかった。で、字幕は当然のことながら英語しかない。ということで早口でどんどん字幕が流れていくのを、一々にはこだわらず観てみた。一知半解の感があるが、大筋は分かりよい。

 つまり分かりやすく上手く作られている。それもヒットした理由だろう。定石通りのアイテムがあり、それらが予想通りの展開をしていく。先が読めていて観客も安心して楽しめるものだろう。

 男女間の愛情の問題は難しい。ここでは20年前のことがあって、今があるということに。画面を止めて見てみてると、ホテル予約の手紙の消印は、その20年後の今年の4月25日付であった。この予約を受けるかどうかで夫婦間に一悶着があり、夫婦の仲の悪さ、そしてそれは20年前のケンとの出来事が関与しているのが分かるわけだ。

 そしていよいよ夏になり、ヨットでケンたち一家三人がやって来るところから、話が動き出す。まずは船上のモリーと、ホテルのジョニーがお互いに望遠鏡でその姿を見出すことから始まる。なおその船の中では、どんな服装で下船するかでモリーと母親のヘレンの間でトラブルがある。これによってヘレンは継母であり、あまり親娘関係が良くないことが分かるようにしてある。なお夫ケンとヘレンとの間も、もはやしっくりいってないのも分かる。

 ホテルに着く直前にバートの暴言にシルヴィアが気分を害し、客を迎えるという仕事を放擲して部屋に戻ってしまう。もちろん、謝罪しておいて、と言いつつ。バートからしたら20年前は自分たちの使用人であったのが、今や金持ちとなり、客としていわば凱旋してくることに不愉快でいるわけだ。さらに良くないことにはこちらも夫婦間が冷えきっており、ホテルの経営も順調でないのが見て取れる。それはペンキを塗るシーンや、雨の日、ある女性の部屋で雨漏りがしているシーンで分かる。

 要するにバートは、無理矢理シルヴィアと結婚はしたものの、愛情がない結婚生活は悲惨であったということだ。唯一の慰めは彼らの息子ジョニーの存在である。ただそれもあからさまに出てこないが、ケンにジョニーはバートに似ていない、と言わせている。私の推測だが、シルヴィアがケンと別れる前にラブアフェアがあり、シルヴィアは妊娠していたのではないか、と。それをバートは知っていながらシルヴィアと結婚したのではないか、と。ただシルヴィアはこの件に関してはノーコメントだった。

 ラストでジョニー(とモリー)が父親バートにモリーと結婚すると言いに行ったとき、バートはそれに反対するのだった。何か口ごもりながらなのだが、二人は結婚してはいけない、といったニュアンスなのだ。やはり私の推測だが、彼らは異母兄妹なのではないか。ただもしそうだとすると日本では、法的に結婚はできないということだ。一部の外国では認められているということだそうだ。

 ラストシーンはこの二人が結婚して、ハネムーンでこのパイン・アイランドに訪れるということ。ハッピーエンドではあるが、もともとの親たち、ヘレン・バートはそれぞれ離婚してその後どのようになっていったのかは詳しくは触れないまま終わっている。

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