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【こんな映画でした】773.[悪を呼ぶ少年]

 ロバート・マリガン監督作品。ホラー映画というジャンルにされているが、それですましていいものなのかどうか。ともかくあまり説明がないので、分かりにくい。

 双子の母親はなぜ病身であったのか、なぜわが子をそんなには愛せないのか。ラストシーンで二階の窓越しに焼跡を見下ろしているナイルズは、何を意味しているのか。彼は焼け死ななかったのか。ではエダは亡くなったのか、等々。

 エダは事件のすべては兄ホランドのせいにする、弟ナイルズの仕業だと見て彼をともどもに抹殺しようとしたのか。オープニングからしばらくは、あたかも双子の兄弟が一緒に生きて行動しているように描いている。ただ一つ腑に落ちなかったの食事をしなさいと言われて実際に食卓につくのは一人だけなのだ。もう片割れについては、誰も言及しない。つまりこの時点で既に兄は、後で分かるが、古井戸に落ちて死んでいる。

 だから母親はその古井戸の前で泣き崩れていたということが、あとで分かってくる。そして残念なことにはどうやら母親は、弟ではなく兄を、兄のみを愛していたのかもしれない。そう考えれば母親の弟に対する素っ気なさが、今考えれば痛ましい。

 となれば、やはりすべての事件・事故(?)はホランドのせいにする弟ナイルズの仕業であったと考えるしかないか。父親殺し・ロウ婦人殺し(心臓麻痺だから事故ともいえるが)・ピート殺し・赤ちゃん殺し、そしてそれを見破った(?)エダ殺し、と。

 ただ分からないのはどこまで弟が分かっていたか。つまり弟が手を下しているのに、それをすべて兄の仕業と考えているところ。少なくともここでの設定は一人の男の子のなかでの二重人格というよりは、まず二人存在していたのが事実なのだ。

 あと年代的には食卓で新聞を開いているシーンがあり、そこには「リンドバーグ愛児誘拐事件」の犯人が逮捕されたが、そのリチャード・ハウプトマンは否定しているとの見出しが分かる。ここは私がDVDを止めてじっくり見たので分かったわけで、映画館ならそこまでは読み取れてないだろう。ということで解説には1935年とある。

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