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【こんな映画でした】719.[偽りの果て]

2020年12月 2日 (水曜) [偽りの果て](1947年 NON COUPABLE NOT GUILTY フランス 94分)

 アンリ・ドコアン監督作品。初めて。酔いどれの医師をミシェル・シモン、撮影当時52歳くらいか。その愛人をジャニー・オルト、撮影当時35歳くらい。[罪の天使たち](1943)のテレーズ役で観ている。

 解説には「落ちぶれた医者アンスランは泥酔して帰宅途中、バイクに乗った男を轢き殺してしまう。事故に見せかけ、誰も彼を疑わない。彼は次第に完全犯罪の虜となっていく……。」とある。

 見始めて最初のうちは、ヒッチコック同様、犯人が分かっているやり口で展開するのだなと簡単に考えていた。とんでもなかった。一癖も二癖もある。一味も二味もある、凝った内容であった。参った。

 この医師が何が切っ掛けで、このように堕落としか見えないような姿に変わっていったのか。そのあたりは推測するしかない。ただ周りの人からは善人の医師であると見られていたようだ。そのせいで最後の告白も信用されず、同情されることになる。

 ラストシーンもなかなかで、遺書を書いて暖炉の上、置時計のところに置いておくのだが、驚いた猫が飛び上がり、その置時計を倒してしまい、同時に遺書も下へ落ち、暖炉の火の中へ。なるほど、と。

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