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【こんな映画でした】92.[カラヴァッジオ]

2021年 3月21日 (日曜) [カラヴァッジオ](1986年 CARAVAGGIO イギリス 93分)

 『私の映画手帖』(辻邦生 文藝春秋 1988年)に紹介されていた。デレク・ジャーマン監督作品。主役カラヴァッジオにナイジェル・テリー、撮影当時40歳。初めてのようだ。なかなか魅力的な顔立ちである。

 辻邦生の文章を読んで、何となく分かってきたような。つまり映画をその流れのままに観ていても、なかなか分からない。それもそのはずでオープニングシーンがカラヴァッジオの死の床であるということ。そこからフラッシュバックで過去の回想が織り交ぜられていくという趣向。何とも強烈な映画であり、これは一般受けはしないだろうと思われる。

 カラヴァッジオのその時々の生活・生き方と、そこで描かれた絵画とが紹介されていく。ただそれは実際にできあがり、現在まで伝えられている「絵そのもの」ではない。「モデルたち」なのだ。つまり生きている人間そのものを、映画の中では「絵」としているわけだ。彼らにいわばストップモーションを演じさせている。

 映画全体の光の加減がいかにもその当時の、つまりロウソクと窓から差し込んでくる日の光であって、まさに当時の絵の雰囲気が出ている。娼婦役のティルダ・スウィントン(撮影当時25歳)は、結構観ていた。[ナルニア国物語]で白い魔女役であった。あと[ベンジャミン・バトン 数奇な人生](2008)を。

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