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【こんな映画でした】571.[10ミニッツ・オールダー]

2021年 3月12日 (金曜) [10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス](2002年 TEN MINUTES OLDER: THE TRUMPET 10ミニッツ・オールダー RED(ビデオ題) イギリス/ドイツ/スペイン/オランダ/フィンランド/中国 88分)

 邦題は劇場公開題。何とも言えない作品群。一人の監督が10分間で描くもの。たしかにその監督たちのメンバーは凄いのだが、できあがってきたものは私に分かりやすかったとは言えない。ともかく何かの刺激・衝撃などをまずは受け止めればいいか。

 アキ・カウリスマキ:『結婚は10分で決める』
 ビクトル・エリセ:『ライフライン』
 ヴェルナー・ヘルツォーク:『失われた一万年』
 ジム・ジャームッシュ:『女優のブレイクタイム』
 ヴィム・ヴェンダース:『トローナからの12マイル』
 スパイク・リー:『ゴアVSブッシュ』
 チェン・カイコー:『夢幻百花』

 アキ・カウリスマキの作品の二人の俳優は、2020年 8月に観た[過去のない男](2002年)の二人であった。原題は「Dogs Have No Hell」。
 ヴェルナー・ヘルツォークの作品の原題は、「Ten Thousand Years Older」。このシリーズ名に引っ掛けてあるのだろう。
 ヴィム・ヴェンダース作品の原題は、「Twelve Miles to Trona」、つまり「トローナへの12マイル」なのだが。どちらに視点を置くかという違いか。
 スパイク・リーの作品の原題は、「We Wuz Robbed」。要するに2000年のアメリカ合衆国大統領選挙において、民主党のゴアが共和党のブッシュに敗れた際のことを言っている。つまりこのときは共和党が不正をして勝ったということ。因果は巡るではないが、2020年の選挙ではその逆となった。
 チェン・カイコー作品の原題は、「100 Flowers Hidden Deep」。見える人には見えるが、見えない者には見えない、といったことか。

2021年 3月18日 (木曜) [10ミニッツ・オールダー イデアの森](2002年 TEN MINUTES OLDER: THE CELLO 10ミニッツ・オールダー GREEN(ビデオ題) イギリス/ドイツ/スペイン/オランダ/フィンランド/中国 106分)

 [10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス](2002年 88分)に続いて。邦題は劇場公開題。前作同様に一人の監督が10分間で描くもの。前作よりはまだ何とか分かりよかったかもしれない。

 ベルナルド・ベルトルッチ:『水の寓話』
 マイク・フィギス:『時代×4』
 イジー・メンツェル:『老優の一瞬』
 イシュトヴァン・サボー:『10分後』
 クレール・ドゥニ:『ジャン=リュック・ナンシーとの対話』
 フォルカー・シュレンドルフ:『啓示されし者』
 マイケル・ラドフォード:『星に魅せられて』
 ジャン=リュック・ゴダール:『時間の闇の中で』

 ベルナルド・ベルトルッチの『水の寓話』は原題が「Histoire d'eaux」で、「水の歴史」。中国の話「一炊の夢」のような感じ。やはりダンスシーンが出てくる。
 マイク・フィギスの『時代×4』は原題が「About Time 2」。画面が4分割されて同時に進行する。ただでも見るのが大変なのに、中味がまた分からない。考えようによっては、この作品はわずか10分という制約の中で、画面を四倍にすることでより多くを提示しようということなのかもしれない。内容はともかくとして、面白い発想だ。
 イジー・メンツェルり『老優の一瞬』は、原題が「One Moment」、「一つの瞬間・ちょっとの間」であるが「見せ場」という意味もあるとか。たしかに一人の俳優の若い頃から晩年に至る変遷をちょっとの間に見せてしまう作品ではある。
 イシュトヴァン・サボーの『10分後』は、「Ten Minutes After」で原題通り。ただ中味的には怖い話ではある。わずか10分でも人生の大事が起きてしまうという怖さでもあるか。ここでは不幸なことなのだが。
 クレール・ドゥニの『ジャン=リュック・ナンシーとの対話』は、「Vers Nancy」で「ナンシーへ・ナンシーに向けて」といったことらしい。列車内での車窓を背景に老人(哲学者?)と若い女性ナンシーとの会話である。外国人は侵入者である、等々の話が。難解。聞いてすぐ分かる内容ではない。
 フォルカー・シュレンドルフの『啓示されし者』は「The Enlightenment」で「啓発、啓蒙、啓蒙主義、《仏教・イスラム教》悟り」とある。ラストシーンのテロップでアウグスティヌスの名前が出てくる。時間論でもあるか。結局、過去・現在・未来と言いつつも、あるのは現在の時間のみ。といったような思考がナレーションで。
 マイケル・ラドフォードの『星に魅せられて』は、「Addicted to the Stars」で「病みつきになる・耽る・溺れる」といった意味のようだ。たしかに宇宙飛行士として星に魅せられた主人公は、遙か彼方の星から何十年振りに帰還する。そして会ったお年寄りは、実は彼の......という話。
 ジャン=リュック・ゴダールの『時間の闇の中で』、「Dans le noir du temps」で「時間の暗闇の中で」。いくつもの様々な「~の闇の中で」と題されて出てくる。

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