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【こんな映画でした】48.[エレファント・マン]

2022年 3月22日 (火曜) [エレファント・マン](1980年 THE ELEPHANT MAN アメリカ/イギリス 124分)

 デヴィッド・リンチ監督作品。アンソニー・ホプキンスとジョン・ハート主演。女優ではアン・バンクロフトが美しい。[奇跡の人]と[卒業]を思い出す。婦長のウェンディ・ヒラーが凜々しい。

 1981年10月12日に映画館で観て以来になる。ほぼ忘れていた。凄まじい内容である。しかも実話というか、ジョン・メリックは実在の人物である。ただ彼の名前については、彼のことを記した本を出版した医師のトリーヴズが、本名の「ジョゼフ」を「ジョン」と書き換えていたとのこと。匿名性を持たせるためか。

 メイキングによると、映画では省略やら時間的な入れ替えなどがあるとのこと。例えば彼は発症後の身体では働くことができないので、自活するために自らを見世物として売り込んだとのこと。仕事を求めてベルギーに渡っていた時期もあった。

 さらに彼は日曜学校にも行き、勉強もしていたとのことなので、読み書きのハンディキャップはなかったようだ。つまり病気による身体的な障害のみであったのかもしれない。その病気の原因は今も不明だそうで、もちろん治療法もいまだに無いとのこと。遺伝的なことらしく、彼の妹も同様の症状を発症していたとのこと。

 とまれ、かくして外見的には、異様な様相を呈していたわけである。そのためにどれだけ苦労したかは想像を絶する。
 ただそんな中でも彼ジョン・メリックは、自ら考え・行動し、一定数の人からは愛されもし、それなりの幸せや充実感を獲得できていたのではないかと思う。27歳で1890年に亡くなっているが、その最後の日々は幸福なものであったのではないか。病気ゆえにその寿命は短かったが。

 人間というのは人を外見で判断するものだ。彼のセリフにあったが、人は理解できないものを恐怖する。彼の姿・形を見て平然と顔色を変えずに付きあえる人はなかなかいないだろう。よほど人間ができていないと嫌な顔が出てしまう。あげく差別や暴力を振るうことにもなる。彼もその身体的な不自由さから襲われたりもしているようだ。

 感動的なシーンとしては、女優ケンドール夫人の招待で行った劇場でのことがある。劇場でのスタンディングオベーションは、慈善と偽善との入り混じった複雑なものであったかもしれないが、まずは素直に受け取るべきか。もちろん世の中には、まったき善人もいるだろうから。

 メイクには時間が掛かったようだが、より印象的なのはその衣装というか、黒いコートを羽織り、黒い帽子を被り、顔は白っぽいマスクで眼だけを穴を開けてあるあの扮装である。本当の顔形の映像は忘れても、こちらの扮装は一度見たら忘れられないものがある。

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