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【こんな映画でした】51.[モンパルナスの灯]

2022年 3月29日 (火曜) [モンパルナスの灯](1958年 LES AMANTS DE MONTPARNASSE THE LOVERS OF MONTPARNASSE フランス 108分)

 ジャック・ベッケル監督作品。ジェラール・フィリップ(撮影当時35歳)がモジリアニを。その愛人たちをリリー・パルマー(撮影当時44歳)、アネク・エーメ(撮影当時26歳)が。いずれも魅力的だ。原題は「モンマルトルの恋人」とも訳せるのかもしれない。最初にテロップがあり、この映画は事実に基づくが史実ではない、と。

 晩年の何年かを描く。最後は失意のうちに、おそらく酒とタバコで緩慢なる自殺のように病死していく。その直後に画商モレル(リノ・ヴァンチュラ)が伏線であったように、早速絵を買い付けに来る。モジリアニの死をジャンヌに伝えることなく。まさに「死の商人」と言われていたように。

 このことからするとモジリアニの絵は生前一枚も売れなかったというが、その絵を評価できる(する)画商は存在したということだ。(ということは、やはりゴッホの絵についてもその素晴らしさを察知できた画商とかが存在したのではないか。それをテオが阻んだのではないかという仮説を私は考えてしまう。)

 ゴッホに続いてモジリアニを描く映画を続けて観て、正直疲れ果ててしまった。凡人はそのような苦労をすることがないだけ幸せなのかもしれない。彼らは絵が描けるという才能を持っていただけに、逆にその苦悩も凄まじいかったのだろう。芸術というのは、そこまで犠牲を要求するものなのだろうか。

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