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【こんな映画でした】660.[小さな兵隊]

2020年12月17日 (木曜) [小さな兵隊](1960年 LE PETIT SOLDAT THE LITTLE SOLDIER フランス 88分)

 ゴダール監督作品。ブリュノ役はミシェル・シュボール、撮影当時25歳。その恋人役(ベロニカ)にアンナ・カリーナ、撮影当時19歳。「小さな兵隊」とはどうやら暗殺者、それもこのブリュノのことを言うのかもしれない。

 時代背景として、アルジェリアでの紛争の最中のことのようだ。舞台はフランス国内ではなく、スイスのジュネーブ。そこでのフランス秘密警察の面々と、アルジェリアの解放戦線との暗殺を含めた戦いが繰り広げられているとのこと。

 これは解説を読まないと分からないことだ。ともかくブリュノは弱みを握られて利用される兵隊であった。権力というのは残酷なものだ。その目的のためには、とことん人間の劣性を利用する。そして破壊し尽くす。

 ベロニカも最後は捕まり、拷問の末、殺されたとナレーションが入る。ブリュノはおそらく彼女を愛していたのだろうが、政争に巻きこまれて死んでいく。なおラストシーンで、ブリュノは暗殺を成功裏に実行したところで終わる。彼のその後は分からない。用済みで消されたかもしれない。

 ゴダールがこのような政治的な映画を作っていたとは、と。まだ30歳ぐらいのときだから、そのような意識は十分あったのだろう。ともかく[アルジェの戦い]と時間をおかず観たので印象深い。フランスという国家にとって、アルジェリアの問題は相当深刻なものだったのだろう。

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