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【こんな映画でした】338.[國民の創生]

2021年 4月 8日 (木曜) [國民の創生](1915年 THE BIRTH OF A NATION アメリカ 153分)

 D・W・グリフィス監督作品。これは観ておかなければならない映画の一つ、ということでお勉強と思って観た次第。原題は、「国家の誕生(起源)」ではないのだろうか。見終わって、そのように思う。もちろん国家には国民が必須ではあるから、それでいいのだろうが。

 内容には驚かされたが、それよりも何よりもリリアン・ギッシュが何とも言えない可愛らしさである。まさにお人形さんのように。見とれてしまう。そういえばこの映画を観る切っ掛けの一つはこのリリアン・ギッシュだった。

 ここで国家・国民とは、アメリカ合衆国でありアメリカ合衆国国民のこと。イギリスからの独立後の最大の内戦である南北戦争から、その直後の混乱の時代を主として描く。2020年のアメリカ合衆国大統領選挙で耳にしたが、その選挙における民主党と共和党との戦いはあたかも南北戦争のようだ、とのこと。

 その南北戦争については先だって観た[コールドマウンテン]でもそうだが、実に悲惨な内輪もめであったようだ。この[國民の創生]では、その南北両軍の戦いに加えて、南部において黒人たちを扇動して白人を襲うという事件を描く(事実かどうかは、今の私にはまだ分かってない)。

 そして南北戦争終了後、南部では黒人が選挙において議会の多数を占め(100人対23人)、黒人優位に政治が行われていた、としている。そして白人たちが、あるいは選挙権を奪われ、暴力も振るわれ、と。

 そんな中でキャメロン大佐(南軍)の妹が黒人ガスに追いかけられ、自死してしまう。そのあたりから例のKKK団(クー・クックス・クラン)が登場することに。つまりこのKKK団は、横暴な黒人たちの暴力から白人を守るために、黒人を成敗する組織といったもののようなのだ。それにしてもその風体は異様であり、黒人には恐怖となったことだろう。

 もちろん歴史的事実は、まだ私は知らない。しかしこの監督は南部出身者で、相当にこのことには重きを置いて描いていると思われる。つまりこの映画はどちらかと言うと、南部サイドの黒人を非難する立場で描かれていると思えるのだ。まだ十分には分からないが、アメリカ合衆国という国家の産みの苦しみを描いたものという評価があるのかもしれない。

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