見出し画像

【こんな映画でした】852.[しあわせ]


2023年 9月14日(木曜) [しあわせ](1998年 HASARDS OU COINCIDENCES CHANCE OR COINCIDENCE フランス/カナダ 120分)

 クロード・ルルーシュ監督作品。主役ミリアムをアレサンドラ・マルティネス(撮影当時34歳)、バレリーナだけあってその踊りやちょっとした身体の動かし方が綺麗であり華麗である。美人というのとは違って、話をしているときのにこやかな笑顔が魅力的だ。1995年から2009年まで、監督の配偶者であったようだ。

 相手役男優はピエール・アルディティ(撮影当時53歳)、[巴里の恋愛協奏曲](2003)で観ていた。それと8歳になる息子セルジュ。また狂言回しの未来学者をマルク・オローニュ。彼が映画の中での舞台を繰り広げ、そこから本題のこのルルーシュの映画に入っていくという、手の込んだやり方をしている。

 邦題は陳腐であるが、やはり原題は良い。「必然と偶然」、あるいは「必然か偶然か」。人生の出来事は、言うなればすべてこの両者のいずれかであり、両方である。それは視点の問題だ。こちらから見ればそれは偶然でも、それぞれをたどっていくとそれは必然であった、というようなことだ。

 たとえばある場所で男女二人が出会うということでも、まずその場所にやって来ることは、それぞれにとって用事であったりで、ある種の必然性がある。ところがそこでその二人が出会うかどうかは、あくまでも偶然なのである。映画のシーンでも、ほぼ同じ場所に居ながらすれ違うところがあった。人生とはそういうものだろう。

 俳優では、若い赤毛の女の子が可愛らしかった。ミリアムの大人の魅力とは違い、若さのそれはそれでやはり圧倒的である。

 ストーリーとしては、離婚後の女性(母親)とその息子のベニス旅行がきっかけとなり、新たな男性との出会いと幸せな日々。そして一挙に、その男性と息子の二人を事故で亡くしてしまうことに。そこから彼女一人での果たせなかった三人での旅行を、一人でし続け、それをビデオカメラに納めていく。

 その旅行は順調に見えたが、空港の待合室でうたた寝をしている間にバッグをビデオカメラとともに盗まれてしまう。そこで彼女は、今一度ビデオカメラを手に同じ行程をたどっていくことになる。その盗まれたビデオカメラが狂言回しとなる未来学者の手に渡り、そこから彼は映像の中の彼女を探し求めていくことになる。そのために結婚してまもない、赤毛の女の子とも別れてしまうことにもなるのだが。

 彼はさらに盗まれていた彼女ミリアムのパスポートも入手し、彼女の故郷イタリアのカララというところまで行き、父親と弟と面会する。以下、続いていくが、この二人の関係がその後どのようになっていくのかは分からない、少なくとも私には。様々な可能性、もしくは偶然性があることだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?