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【こんな映画でした】500.[(500)日のサマー]

2021年10月 8日 (金曜) [(500)日のサマー](2009年 (500) DAYS OF SUMMER アメリカ 96分)

 マーク・ウェブ監督作品。初めて。主人公トムをジョセフ・ゴードン=レヴィット、サマーをゾーイ・デシャネル。いずれもやや変わった感じの相貌の俳優。それが功を奏しているキャスティングだと思う。ともに初めて観る。

 見終わって考えると、この題名は二つの意味を掛けているようだ。「サマーの日々」と「サマーとの500日」。「サマー」はもちろん「夏」という季節でもある。そして501日目にトムが面接会場で出会った女性が何と「オータム」!。出来すぎというかやり過ぎの感があるが。これがオチである。

 男女間の愛情というものの難しさの一面を描く。女性は愛というものに冷めていて、いつまでも続くものとは思っていない。男性の方は、ある意味愚直に信じているわけだ。もっとも彼女に振られて、それも一気に瓦解するのだが。そしてオータムに出会って、また元気を取り戻すことに。単純といえば単純だ。やはり愛情に関しては、女性のほうがうわてだ。

 あと変わった趣向としては、映画の中の映画。こちらはモノクロで何か分からないのが悲しいがおそらくフランス映画の何かをもじっている。それとこちらはさすがに分かったが[第七の封印]の騎士と死神がチェスをするシーンのもじり。こちらは死神ではなく天使(?!)にしてあるが。

 もう一つ、二人で映画館で観る映画は[卒業]であった。そのラストシーン、バスの中での二人のアップが映し出されていた。それを観てサマーは涙している。トムは観たい映画でもなかったのか、別段、感動している様子はない。二人の感性や趣味のズレを表していたようだ。

 分かりにくいといえば、この日にちの数字である。どこから「500日」が出てきたのかが、まず分からない。年月でいうと、一年半に満たない。トムがサマーと出会ったのが、1月8日だったか。それが(1)ということになる。

 素直に(?)日付順で描いてくれたらいいのだが、フラッシュバックの連鎖。だからもう何が何やら分からない。もちろん内容的には分かるが、それと日付との間には、納得できる相関関係はないのである。これならフラッシュバックしなくても、加算していくだけの日付の変化で描く方が、より難しいとは思うが、その方がスッキリしただろう。

 ラストシーン近くで、サマーがトムと一緒に眺めた風景の場所へ戻ってくる。最後の二人の出会いのシーン。トムが尋ねる。なぜ結婚したのか、と。彼女はそれをハプニングだと言っていた。世の中はそんなものかもしれない。そして何やら寂しげなのは、その結婚生活が幸せなものではないことをほのめかしているようだ。愛はつづくものではないと言いつつ、結婚してしまったサマーに私など少しがっかりしてしまったのだが、結局はそういうものなのかもしれない。

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