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【こんな映画でした】196.[我等の生涯の最良の年]

2020年 2月16日 (日曜) [我等の生涯の最良の年](1946年 THE BEST YEARS OF OUR LIVES アメリカ 170分)

 ウィリアム・ワイラー監督作品。原題の意味するところは、「我等」すなわち復員した三人の元軍人たち(演じるのはフレデリック・マーチ、ダナ・アンドリュース、ハロルド・ラッセル)の、その人生における最も良い頃(数年間)ということで、戦争中のことを指すのではないかと、私は思った。三人三様だが、彼らを絡ませてオムニバス風にそれぞれのドラマを描き、最終的にはお定まりのハッピーエンドになる。

 悪役というか敵役としてのフレッドの妻や雇い主。戦争を批判する客、銀行の頭取などが配されている。しかし概してみんな好意的な人たちとして登場する。ブッチの酒場でのブッチ役はなんとあのホーギー・カーマイケルであった。ホーマーが義手で彼と連弾するところは良いシーンだ。

 女優はアルの妻役マーナ・ロイが美しい。それとの比較になるその娘役のテレサ・ライトも魅力的なのだが、負けてしまっている。もちろん若さでは勝っているが。彼女も恋する乙女を演じるシーンは、実に魅力的だ。演技・演出が上手いということだが。

 ホーマーに関して言えば、本当に義手であって、だから俳優ではなかったようだ。彼に関しては「復員兵」であることに加えて「傷病兵」であることが、他の二人とは際だった違いである。今風に言えば「障害者」に対する世間の眼、といったことに。彼もそれで苦しむ。

 戦争の後遺症はフレッドの場合は、夜見る夢に出てくる。乗っている飛行機が墜落するシーンらしい。トラウマというか、大なり小なりみんな精神に傷を負っているということだろう。

国家悪としての戦争を、声高に非難するわけではない。むしろ愛国心の高揚をうたっているようにも見える映画である。しかしそこにさりげなく戦争批判も入れてあるということだろう。

 テンポが全体的にやや遅いというか、ゆっくりと描写しているというか、もう少し早くしてもらったほうがいいなとも思う。編集でカットするというのは、やはり難しいものなのかもしれない。

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