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【こんな映画でした】503.[心の旅路]

2020年 3月18日 (水曜) [心の旅路](1942年 RANDOM HARVEST アメリカ 124分)

 上手い、と唸らされる映画。最後にはホロッと涙が少々出てきた。そこに至るまでの脚本というか、演出の上手さ。これでもまだ気がつかないか、といった繰り返し。女性も忍耐強いと言うべきか。

 監督はこれから観ていくことになるマーヴィン・ルロイ。ヒロインは、美人だがやや怜悧な趣のあるグリア・ガーソン。ご立派としか言いようがない演技だ。記憶喪失の男性はロナルド・コールマン。

 さてこの原題の意味が分からない。この金持ちの男性の家に「ランダム・ホール」(表札?)とあるので、「ランダム」は名前なのだろう。「ハーベスト」は「収穫」。では「ランダムの得たもの」といった意味になるのだろうか。

 上手いやり方の一つは、秘書の出し方がある。「ミス・ハンソン」という秘書の名前は何度も出てくるが、一向に姿を見せない。そしてちょっとおかしいなと思わせたところで、秘書から書類をお持ちしますと言わせ、カメラがゆっくり横移動して秘書が入ってくるドアを映し出す。そして、登場。それは何と、彼女だったのだ、と。

 一刻も早く自分がかつての妻であることに気づいてほしいのだが、まさしく急いては事をし損じる、ということで見ている方がイライラするほどじっくり待つのだ。何度か思いだしてもらえそうなチャンスがあるのだが、本人はまだ気づかない。このあたりは映画館で観ている観客から大きなため息が漏れたことだろう。しかしこれは教育的というか、教育の世界、教師もかくあらねばならないという見本のようなもの。

 あるいは彼女がじっくりと彼の話を聞こうとする態度を示すと、何とか声が出て来るシーンもそうだ。親身になって応対することの大切さだ。このようにこの映画は教師になろうとする人も、是非一度観ておくべき内容であると言えよう。

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