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【こんな映画でした】429.[おかしなおかしな訪問者]

2021年 3月29日 (月曜) [おかしなおかしな訪問者](1992年 LES VISITEURS フランス 107分)

 ジャン=マリー・ポワレ監督作品。これは『ヨーロッパニューシネマ名作全史3』(田山力哉 社会思想社 1994年)に紹介されていた一本。歴史劇風コメディとでも言えるか。もちろんフランスの歴史の話。時は、12世紀のカペー朝。肥満王といわれたルイ6世がオープニングシーンで出てくる。

 主人公はその王に仕えるモンミライユ伯・豪傑伯といわれたゴットフロワをジャン・レノ、撮影当時53歳、[ニキータ](1990)で観ている。姫役と現代では伯の末裔の女性にヴァレリー・ルメルシェ、撮影当時38歳。なかなかユニークな女優だ。

 タイムスリップしてその下僕とともに20世紀に。具体的には1123年から1993年へ、とある。そこでの珍道中というか、トラブルを面白おかしく描く。たしかに千年前の人が、今ここに現れたらそのようなことになるだろうという面白さである。ドタバタの最終には元に戻れるのだが、一つイタズラのようなことを挿入している。下僕が現代の自由が気に入って、その子孫と入れ替わって残ってしまう、ということ。現代人が過去に行ってしまうと、それはそれでまた大変だろう。

 もし私が在職中に観ていたら、授業ではこの領主とその下僕の関係がどんなものであったか。この映像を通してかなり実感できるので活用したかもしれない。要するにまったく人間扱いしてないということ。それが如実に出てくる。食事も残飯だし、寝るところもベッドどころか藁を敷いてといったこと。隷属的な在りようがうかがえる。

 あらためて民主主義や自由・平等といった価値観のありがたさが知られるのだった。

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