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【こんな映画でした】52.[ミシシッピー・バーニング]

2022年 3月31日 (木曜) [ミシシッピー・バーニング](1988年 MISSISSIPPI BURNING アメリカ 126分)

 アラン・パーカー監督作品。最初は勧められて1997年1月7日に観ている。今回は二度目。やはり凄まじい。1964年のミシシッピ州のある町での三人の男性の行方不明事件をFBIが捜査にくるという内容。その二人がジーン・ハックマン(アンダーソン役、撮影当時58歳)とウィレム・デフォー(ウォード役、撮影当時33歳)。あと地元に住むペル夫人にフランシス・マクドーマンド(撮影当時30歳)。

 もうアメリカ合衆国というのは、「人種差別絶望帝国」である。先住民が暮らしていた時代にヨーロッパからやってきた、それこそ「アングロサクソン」が、彼らを死に追いやりつつ征服・支配した場所がこのアメリカ合衆国なのだ。

 当然のように後から新大陸へやって来た人たちもアングロサクソンからは、被差別の対象以外の何ものでもなかった。アイルランド人・イタリア人・ユダヤ人・黒人といった具合で、みんな差別されてきた。

 KKK団の指導者が集会の演説で言う。アングロサクソン以外のすべては抹殺されるべき下等な人間である。だから彼らに暴力を振るい、殺すことは善なることだと言わんばかりなのだ。そして現に実行する。例の白い三角頭巾のような布を被って。

 映画での印象的なシーンは、題名通りで家が燃やされているシーン。すべて放火である。中には黒人たちが家の中で眠っているのを分かっていながらの行為である。これを殺人と言わずして何と言うか。

 あと暴力も凄まじい。集団で襲いかかり棒で殴り倒し、あげく首にロープを巻き付けて木の枝に吊すのだった。昼間は善良そうに見える白人たちが、夜になり、白い覆面を被ると豹変するのだ。

(22分~ アンダーソン)黒人を憎んだおやじの本当の敵は貧乏だった
【真の敵は「貧困」であろう。そしてそれを構造的に作り上げた支配層である。明治期の日本でもそうだったが、田舎の人たちが食べていけない状況を、政治的に作り出しておいて、そこにつけこみ安い賃金労働者として都市に送りこんでいくのだ。方程式はいずこの場所、いずれの時代でも同じだ。】


(89分~ ペル夫人)憎しみは生まれつきじゃない。教えられたの。学校で人種差別は聖書にあると。創世記の9章27節。7歳の頃にはもう、そう信じ込んでる。憎しみを信じてる。その中で息をし、生活をし、結婚する。
【どうしてこのような教育をしてしまうのだろうか。しかもあのイエスの、キリストの教えを利用して。憎しみは人を不幸にするばかりなのに。しかし今も、憎しみばかりを増幅させるニュースが流されている。】

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