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【こんな映画でした】226.[恐怖の報酬]

2020年10月 4日 (日曜) [恐怖の報酬](1953年 LE SALAIRE DE LA PEUR THE WAGES OF FEAR フランス/イタリア 148分)

 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督作品、4作目。辻邦生も『幸福までの長い距離』(1997年)所収の「ノン・ジャンル・ベスト50」(P.226)の一つとしてあげていたので、期待して観た次第。

 主役はまだ若いイヴ・モンタン(マリオ役)、撮影当時31歳。唯一といっていい女優はヴェラ・クルーゾー(リンダ役)、撮影当時39歳。監督の奥さんだが、演技はイマイチに私には見えた。

 相当に評価の高い映画なのだが、その部分については私はまだ理解が行っていない。それより脚本での不具合に目が行ってしまう。車の運転をする時間が長いのは当然のことになるが、その中での不可解なことが二つ、私は気になった。

 一つは急カーブの上り坂で、切り返しをしながら右折していくのだが、その際相棒のジョーがトラックの真後ろに位置して誘導しているのだ。案の定、逃げ場がなくなって転落。

 もう一つは、おそらくもう一台のトラックが爆発した場所を通過する際のこと。送油管から漏れ出した原油で水たまりになっている場所である。その誘導の際にまたしても不可解な行動をジョーがしている。つまりトラックの真ん前、進行方向に位置して誘導しているのだ。案の定、転んでタイヤに轢かれることになる。いずれも車を運転する人間だったら、当然避ける行為だ。不可解だ。

 そしてラストシーンも、私には不愉快だ。マリオが無事で戻ってくるという連絡を受けて、リンダが酒場のみんなとワルツを踊る。そのシーンに合わせるように、マリオがトラックのハンドルを右に左にとクルクル切る(車を踊らせる?)。

 そして最後は右に切りすぎて、そのままガードレール代わりの石積みを壊して転落していく。ご丁寧にマリオの死に顔までアップで撮して。

 ワルツを人が踊り、トラックも踊るというのは、ある意味しゃれているのかもしれないが、私には頂けない。いつか再度観た時には、そんなことを気にせず、評論家のように評価できるのかもしれないが。

 なお解説には「2,000ドルの報酬のために、命の保証なしで大量のニトログリセリンを運搬する4人の男。手に汗握る展開、そして予期せぬクライマックス。H・G・クルーゾー監督がメガホンをとった傑作サスペンス。」とある。

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