マガジンのカバー画像

花譜

83
四季の花や植物との出会い。古道具と花、写真で綴る短いエッセイ。
運営しているクリエイター

#アンティーク

秋のブーケ 私の花仕事

私が、もうかれこれ13年もの間、担当している花の仕事がある。 花の通販サイト『花問屋アソシエ』さんでの『花レシピ』の製作と撮影。『うきうき花レシピ』という、気分も揚る名前をいただいている。 毎月一回、季節の花の紹介とそれを使った作品を製作し、撮影する。 事前にデザインを決めて、花材を発注。 当日は丸一日かけて8作品程度製作しながら工程を撮影していく。 今年からは動画撮影も加わり、どうお見せしたらいいいか工夫しながら、スタッフ皆で試行錯誤しながら進めている。 特に、プロのカメ

パンドラの箱と桜

昨年9月より6ヶ月に渡り、西伊豆の別荘の改装を行っている。 半年はほぼゴミ捨てに追われ、ようやく家の中のゴミを出し切り、ようやく『ゼロ』状態。 暖かくなってきたので、庭作りやら、内装など少しクリエイティブなことに取り掛かれるだろうと胸中軽やかな気分で、午前中リサイクルセンターを後にした。 さて、午後からどうしようかと。 『裏庭の小屋片付ける?』 そしてまたパンドラの箱は開けられてしまったのだ。 パンドラの箱の『災』の如く、出てくる出てくる、1980年代の大量生産、大量消費

涼しげな夏模様

暑くなってきたから、先週から今週にかけて、ファブリックをリネンに替えたりと、少しだけインテリア小物替えをしている。この暑い中、家具を動かすなど、何か大きく変化させる元気はない。 日本の模様は、特に季節感ある模様があり、それを少しだけ生活に取り入れると目から涼しく過ごせると思う。 網目に金魚模様の小皿。ユーモアのある模様。 これはあまりに可愛らしくて、印判の小皿を集めるきっかけとなったもの。 水羊羹やふ饅頭の夏菓子の方が合うかもしれないが、ご近所の和菓子屋さんで『あんドーナ

アガパンサスと紫陽花

先週の急な猛暑の日々を、やや涼しくなったので窓を全開にして今思い出そうとするが、あまり思い出せない。暑さは思考を停止させるようだ。本来なら、もう少し、しっとりとした梅雨の花をいくつかご紹介したかったが、遅れてしまった。 梅雨期からいっぱいに傘を広げている、アガパンサス。 晴れの日なら、涼しげな日傘、といったところ。 こんな高温多湿な時期でも虫がつきにくく、庭に植えてもボリュームが出せるので優秀な植物だと思う。 好きな7月の花の一つで、特に白は美しい。 昨年秋から、白の球根

ドクダミ草

梅雨時、雨が降りそうで降らないような曇りの日。 気圧段々が低くなると肩にじわじわと重みを感じ、気持ちも段々塞がってゆく。降り出してしまえば、なんとなく楽になる。 小雨が降り出した。 気分転換に外へ出る。 今年も、庭には一面のドクダミ草だ。 暗くて陰鬱なイメージ、独特の香り。 大抵の人々は嫌う庭の雑草だ。 しかし私は、このドクダミ草が好き。 雨に濡れた一面のドクダミ草は、美しくてため息が出る。 白い襟の修道女たちが祈りを捧げているかのよう。 少し、茂みに立ち入り、写真を撮