四十路女と筋トレ
先日、ひとまわりほど年下の知人男性数名と話す時間があった。
イベントのあと、軽食をつまみながらお酒を飲むささやかな打ち上げのような時間だったのだけど、そのうちの一人が長年スポーツをしていて、試合が近いからといってストイックに水しか飲まない。そこから筋トレやプロテインの話になり、彼のようなアスリートには到底及ばないけれどわたしもほぼ毎日2、30分の筋トレをすると言ったらかなり意外がられた。
確かにわたしは見るからにゆるふわおっとりの文化系、中身も堂々たる文化系の人間。学生の頃だって運動部に入ったことなど一度もない。憧れたこともない。スポーツはテレビで見る専門。でも筋トレは必要と効果を感じてこの一年続けている。まぁまぁえらい、と思う。筋トレといってもジムに通っているわけではなく、ナイキのアプリを見ながらリビングで部屋着姿で行うので大して気負いもお金も必要ない。
話を戻して、先ほどの会話の流れで「なんで家路さんが筋トレをしているのか?」とわたしの人物像と筋トレの乖離から暗に疑問を持たれている気配を感じたので、理由を言わなくてはいけない空気になった。本当のことを言ってしまうのは気が引けた。だって筋トレしてる理由は良いセックスをするため、だから。身も蓋もない。流石にそれは言えない。なので「恥ずかしいんですけど、子ども産んだあとの体には尿もれとか防ぐためには必要なんですよ」と言って濁した。濁せてるのかはやや疑問だけれど。
実際、産後に通った整骨院の骨盤矯正では10回の施術のうち最後の4回は骨盤底筋群や内腿を鍛えるための筋トレだった。仰向けで腿の間に幅広のクッションを挟んで会陰のあたりをぐっと締める動作なんて、もうほとんどセックスの動きで、施術をしてくれる整体師さんが男性だったのでただひたすら恥ずかしかった。産後半年、ちょうどレスの気配を感じ始めていた頃だったので、「産後も積極的にセックスしていたら骨盤は自然と整うのかな」などとベビーカーを押しながら考えたのを思い出す。
今わたしが続けている筋トレも腰回りや腹筋を鍛えるためのもので、自然と骨盤底筋群も鍛えられているのか、確かに尿もれもしないし、生理の時もタンポンがずり下がるような感じは一切なくなった。それにセルフプレジャーでの感度もかなり上がった。数ヶ月でこういった効果が実感できたので、初めは単純に見た目を良くしたくて始めた筋トレがやめられなくなっている。筋トレを続けている本当の理由は、実はこんなところだ。
とは言え相変わらず我が家はセックスレス。そして今は外に特定のパートナーがいるわけでもないから、どこまでも自分のための筋トレなのだけど。さしあたって使う予定のない刀も、磨き続けないと錆びて朽ちるものな。
#セックスレス #筋トレ #四十路 #アラフォー
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