児童養護施設から来ていた2人の男の子との出会いと別れ
1.出会い
「裕くんは落ち着きがないし、友達を叩くし、言うことを聞かないから大変だよ」
大げさなジェスチャーを混ぜながら少し興奮気味に、裕くんがクラスでどれほど悪さをして、どれほど苦労したかを切々と語る愛先生。
春休み中の静まり返った教員室の窓から少し冷たい風が入り込んできて愛先生のサラサラのセミロングの髪がふわっと揺れた。
問題児と言われていた裕くんを前年度受け持った愛先生は私の2歳上で小柄で可愛らしい女性。
某国立大学出身だけあって教員研究報告書などの書類は光景が