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ひとりで見上げる真夜中の月

去年のこと。

ダブルワークの仕事帰りー。

夜中もとうに過ぎてしまって、いつも同じ場所辺りで睡魔が襲ってくる。大体は何とか家までたどり着けるのだけれども。

今日は、どうしても無理みたい。

家まであと20分のコンビニで車を停め、温かい缶コーヒーを両手でそっと包み込む。

クルマにもたれて、冷えた月を見上げると、穏やかな光りが何だか懐かしい。

そうだ。

あの時の月と同じだ。

あれは、どれくらい前のことだろう。

その頃、私は夕御飯が終わると、子どもたちを連れて書店に時々通っていた。元ダンはと言うと、スポーツ少年団の指導に夢中で、土日平日関係なく、1年の内のホンの数日しか家に居ないような有り様だった。

私も日中、仕事をしながら、帰ってからも家事と育児。もちろん子どもたちは大好きだったけど、早くに両親を亡くしているので、どこにも頼ったり甘えたりは出来ない。

そんな私の息抜きー。

子どもたちが本を見ている間、書店の前のベンチに座って月を見上げる。

キンキンに冷えた缶コーヒーを両手で包み込むと、真夏の夜にはとても心地よい。

ただただ、月を見上げてコーヒーを流し込む。

ふと、そんな大昔のことを思い出した。

あの時の自分と、今の自分は何が違うのだろう。


今もあの時も、変わらずに子どもたちのことを愛している。

そして。

変わらずに、ずっと寂しかったんだ。

ふとそう思ったときに、何だか涙が溢れてきた。

そして、ちょっと笑えた。今ごろになって気がつくなんて。うふふ。

あの頃と違うのは、缶コーヒーの温度だけ。


少し目が冴えた帰り道。たまには寄り道もいいなぁなんて思いながら。

少しだけ、自分にもかまってあげなきゃと思うと、何だかまた少し、笑えてきた。


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