理解のためのrecitation&retelling活動②
前回の投稿では、私自身の古文暗唱という実体験を通して感じた暗唱(recitation)の効果について書きました。
暗唱は理解なしでは不可能。言い換えれば、暗唱には理解が不可欠。
暗唱は字面を追うのではなく、知識や情景を追うことになるので、深い理解につながる。
よって、暗唱活動は理解を深めていく活動だと言える。
では実際に、英語の授業におけるrecitation活動がどのように理解を深めることになるのか、以下で例を示してご紹介します。
理解を深めるrecitation
高校1年の後半の教科書で、このようなパラグラフを読みました。
高1生にとってはかなり難しい文章ですが、説明して全体的な理解をさせた後、2文目を暗唱させました。
下のような板書をしつつ、少しずつ要素を足していきながらrepeatさせます。はじめは黒板の文字を見ながら、できてきたら文字を見ないで発声するように促します。
There was a shift.
There was a shift in thought.
There was a shift in thought away from the natural science.
There was a shift in thought away from the natural science toward a Christian worldview.
There was a shift in thought away from the natural science that had prevailed in ancient Greece toward a Christian worldview that accepted the Bible as fact.
このように順を追って要素を加えていくことによって、かなり難しい文章でもそれほど無理なく暗唱にもっていくことができます(実際の授業では、個人練習の時間も含めて5分ほどで暗唱までもっていくことができました)。ただし、ここでの狙いは「覚える」ことではなく、このように骨格に徐々に肉付けをしていくことで、文の構造理解や内容理解が深まることを重視しています。
もちろん和訳演習や教員による解説でも理解を深めることは可能ですが、暗唱を課すことによって理解が前提条件となり、大枠や意味の切れ目を強く意識しながら主体的に文章と向き合うことになり、より深い理解につながるものと考えています。
このことはrecitationだけでなくretelling(再話)活動にも当てはまります。一字一句を復元する暗唱と異なり、retellingにおいては丸暗記ではないので情報の取捨選択が必要になり、そのためにさらに十分な理解が求められます。その辺りを含めて、次回の投稿ではretellingについて書こうと思います。
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