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鰻重

今日の絵は鰻重です。鰻はよく見ると身の部分に縞々がたくさんありました。ご飯粒との境がわからなくなってますね。米粒にもタレが染み込んでいるので余計にわかりにくいです。今年の土用の丑の日は7月24日の土曜日ですが勿論土用とは無関係ですね。(今年は8月4日も丑の日だそうです。)

さて鰻は夏の季語ですが、「うな重」は季語には入っていません。「土用」は年に何度もあるのに土用の丑の日のせいか立派に季語になっていますね。

昼飯は蕎麦か鰻かジャンケンポン

昼飯は蕎麦か鰻かチャンポンメン


サラリーマン時代に会社の近くに美味しい鰻屋があり、行きつけの蕎麦屋にするかちょっと贅沢するか、ジャンケンポンで決めたりしていました。当時はバブルの時代で台湾からの養殖うなぎも大量に入っていて、鰻が一気に手の届く値段になっていたんですね。夏には週2回くらいは食べていた記憶があります。そう言えば長崎ちゃんぽんもよく食べたので追加です。

土用の日並も高値や竹葉亭

土用の日じょうは高値の花子さん


新入社員として大阪支店に勤務していた頃、中之島に竹葉亭という高級鰻屋がありました。上司などは時々昼飯を食べたり接待で使っていましたが、新入社員の私にとっては高嶺の花子さんでした。記憶では昭和48年当時でも4000円くらいはしていたと思います。それから10数年後にうな丼やうな重を平気で食べられるようになっていたんですね。

鉄板で鰻焼きたる店もあり

鉄板で鰻焼く店胸焼けり


40代の半ば頃でしょうか。麹町の鰻屋が息子の代となり新装開店したというので友人と出かけた時のことです。お店は鉄板焼屋のように改装されていて目の前で鰻を焼くようになっていました。うなぎの周りには油が溜まってジュージューといっています。大丈夫かなと思いながらも鰻が大好きだった私は一気に油ギトギトの鰻を頬張りました。しかししばらくすると気持ちが悪くなり、お店のトイレで全部戻してしまいました。それ以来、鰻だけでなく、穴子、どじょうも駄目、更には牛肉の鉄板焼さえ見るのもいやになりました。最近になって見るだけでは吐き気をもようさなくなり、こうやって絵も描けるようになりましたが、当時は見るだけで吐きそうでした。

絡み合う鰻の太さ逞しき


生きている鰻があの「ぬるぬる」した身体を絡ませながら蠢いている姿を眺めていると力強さ、生命力を感じます。日本から遠く離れたマリアナ海域で生まれた稚魚が大海を泳いで日本の川を遡るなんて壮大な物語のようです。シラスウナギ漁はどんどん制限され、絶滅危惧種にも指定されるなど、鰻を取り巻く環境は年々厳しくなっています。早く完全養殖が出来るようにならないと日本の食卓から鰻が消えてしまいますね。少し前までは日本人が世界の鰻の7割を食べていると言われていたのにあっという間に1割程度になりました。その代わり日本で鰻の蒲焼の味を覚えた中国人が今では世界の鰻の7割を食べているそうです。


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