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くいな啼き胸にさざ波初大門

今日の絵は夏の季語、水鶏です。「みずにわとり」ではなく「くいな」と読みます。「くひと啼く」ので「くひな」です。大抵の水鳥は寒さを避けて冬に北からやって来るのに、水鶏は冬になると南方へ移動します。でも日本の中で北から南へ移動するだけの水鶏もいるので水鶏の地元は間違いなく日本ですね。

そう言えば京都地下鉄烏丸線に「くいな橋」という駅があります。駅の近くを流れる鴨川に架かる「くいな橋」にちなんだ駅で公募により命名されたようですが、ここにも「くいな」が沢山棲んでいたのでしょうね。公募の前に「鴨川駅」という案もあったそうですが、どこにあるのか分からないと言う理由で却下されたそうです。もともと鴨川は市内を南北に走る烏丸通りと平行しているのですが九条あたりで南西方向に方向を変え、十条を過ぎたあたりで旧烏丸通りの延長線上と交差しているのです。実際は地下鉄なので交わることはありませんが、誰かが面白いので鴨川駅にしたらと言い出したのかも知れませんね。くいな橋駅が鴨川駅だったら皆さんはどう思うのでしょうね。だれもこの辺りの川が鴨川だとは思っていないのですから。

私は多分本物の水鶏を見たことが無いですが、俳句では昔からよく使われていた季語で、夜や早朝に啼く珍しい鳥として馴染みがあったようです。確かに自動車の騒音もない静かな夜に啼く鳥は人の心に残るのでしょうね。吉原の大門辺りの水辺でもよく鳴いていたことが先人の俳句からも分かります。吉原の遊郭は四方を堀に囲まれていて入口出口は大門だけです。それから水鶏笛とか水鶏の鳴き声が雨戸を叩くというような俳句も多く見られます。さて「くいな」で俳句、私はどうしましょう?

くいな啼き胸はどきどき初大門
くいな啼き胸にさざ波初大門

昔の吉原遊郭には行ったことはありませんが、神戸・福原の新開地で同じようにどきどきした経験があります。真夏の夜の夢、知る人ぞ知るの世界ですね。でも「どきどき」は説明的かな~。

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