見出し画像

補聴器や夏夜を刻む壁時計

とうとう我慢出来ず補聴器を買うことにしました。我慢と言っても聞こえないことに我慢していたと言うより「補聴器もどき」の集音器に我慢出来なくなった感じです。「補聴器もどき」は単に音を大きく聞こえるようにするだけなので全ての音が大きくなります。ネットフリックスを見ている時に人の会話がわかるように音量を合わせると急に出て来るバックグラウンドミュージックや衝撃音などがやたら大きくなります。その上吹き替えの会話音とオリジナルの効果音のバランスはドラマによってかなり違います。しばらくはそれに我慢していましたが、衝撃音などの大きさに耐えかねて音量を落とすと今度は人の会話がわからなくなります。そんな訳でとうとう我慢が出来なくなり本当の補聴器にしようと決断したのでした。

では何故1年近く「補聴器もどき生活」をしていたかと言うと、すでに退職しているのでそもそも重要な仕事や会話などはありません。聞き漏らしても適当に返事をしてもそれほど問題にはなりませんでした。強いて言えば同窓会など大人数の時に集音器には参加者の会話が一気に耳に入って来て対面している友人の声がほとんど聞こえません。そんな時にみんなに「おだまり!」と叫びたくなる衝動があるくらいでした。

補聴器はまだ耳たぶに引っ掛ける仮のものですが、私の耳の形に合わせた私専用の補聴器は2週間後に完成します。耳の中に小さな補聴器入れるだけなので落としそうだなと心配していましたが、業者の話ではシリコンで自分の耳の通りに作るので落ちることは余りないそうです。そうそう業者と言っても耳鼻咽喉科と提携していて当日はクリニックまで来てくれて難聴検査通りの仮補聴器を作ってくれました。驚いたことにAIで人間の会話を分離して聞こえ易くする高機能の補聴器もありました。私のは一番安い29万円の普及版ですが、その高機能の補聴器は88万円と約3倍します。それ以外にも360度対応とか指向性ありのものがあります。指向性のあるものは顔を向けた方向がよく聞こえるそうです。現役なら会議などでいろんな方向から声が来たり、横から声をかけられたりするでしょうが、私は同窓会の苦い経験から迷うことなく指向性ありを選びました。

水彩画は長浜にある長浜浪漫ビールの工場です。ちょっといい雰囲気ですよね。水路から直接荷下ろしが出来そうなので昔は酒蔵でもあったのでしょうか?私は旅先の旅館やレストランに地ビールがあると一期一会とばかり必ずそれを注文します。なんとなく作っている人を応援したくなる気持ちもありますね。

補聴器や夏夜を刻む壁時計

今まで気が付かなかったのですが、書斎で絵を描いているとコツコツと音が聞こえました。始めはなんの音かピンと来ませんでしたが、分かりました!そうか!時計の音だ!この時計はこんな音を出していたんだ!と買って5年も経つのに初めて聞いた音でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?