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朝まだきただただ冴ゆる伊吹山

小さな用紙に風景画を描いて見ました。細かいところは用紙が小さいので描けません。でも雰囲気だけは出るようにしました。三島池から見た滋賀県側の伊吹山ですが、石灰の採掘で残念ながら岩肌が露出して少し不自然なところもあります。

伊吹山と言えばヤマトタケルが草薙の剣を熱田に置いたまま、素手で伊吹大明神と戦い破れた有名な山ですね。ヤマトタケルは醒ヶ井の井戸で癒やされたものの最後は病に勝てず能褒野のぼの(亀山市)に埋葬されました。でもヤマトタケルはその後、白鳥となって奈良の御所ごぜそして大阪・羽曳野へと飛んでいったことになっています。姫は熱田でヤマトタケルの帰りを待っていたのになんて不自然なことでしょう。

伊吹山は有史以来ずっと信仰の対象だったのでしょうが、役小角が修行したこともあり江戸時代までは密教、山岳宗教のメッカでした。しかし明治時代になると山岳宗教は衰え、代わりに日本百名山の一つとなったことから、今では登山家にとってのメッカになっていますね。ちなみに深田久弥さんの指定した百名山の基準は品格・個性・歴史を持った原則1500メートル以上の山と言うことですが、伊吹山は1377メートルしかありません。例外はこの他に阿寒岳1499,筑波山877,天城山1405,開聞岳924メートルと合わせて5つだけで、やはり名山から外すことの出来ない素晴らしい山だったのですね。

戻ったよ冷たき車窓に伊吹山

今や京都が本拠地となって10年となり、東京から新幹線で帰る時に伊吹山が見えるとなんとなく戻って来たという気持ちになります。

朝まだきただただ冴ゆる伊吹山

冬の伊吹山は見ているだけで、ただ見ているだけで心まで寒くなって来ます。

手をすりて伊吹仰ぎし綿帽子
手をすりて伊吹仰ぎし冬の蝿

伊吹山の初冠雪のニュースを聞くと冬到来と言う実感が湧きます。勿論比叡山や京都の北の方の山も冠雪はありますが、もう少し冬が本格化してからの気がします。
綿帽子の季語が伊吹山と重なりいいかなと思いましたが、読み返すとつい一茶の句が浮かんで蝿も追加です。

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