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御仏は何も言わねど煤払い

子供の頃は暮れと言えば必ず大掃除をしていました。でも海外に住んでいると大掃除はおろか暮れと言う意識さえ薄らぎます。大掃除は暮の季語かと思ったら「秋の大掃除」という季語はありましたが、大掃除だけでは季語になりませんでした。昔は役所から案内が来て春秋の二回町内一斉に大掃除をしたらしいです。ふ〜ん。でも春の大掃除は季語では無いんですね。そこで暮の掃除関連の季語を探したら年内最後の掃除「箒納め」がありました。それから「煤払」もありました。煤払の方が暮の大掃除に似た感じがしますね。

暮になると一年を振り返るテレビ番組を良くやっていますが、同じような番組は海外にもありました。流石に「今年の漢字」はありませんが、ことの十大ニュースみたいなものはありました。そんなことを考えていたら私のこの一年の俳句を振り返って見てもいいかなと思いつきました。毎月5句を選べば年間で60句となり句集に出来ますね。まあ、まだまだ句集は早いですが、その練習を兼ねて振り返って見ます。

さて今日は1月から5句を選びます。当時はまだ季節と無関係に詠んでいたので新年と冬の句に限定して選びました。

1月
1.千枚漬掴む塗箸するり抜け
2.寝癖毛をそっと撫でたり冬の朝
3.すり足の足袋滑らかやつつみ
4.新春や初見はつみの孫の仁王立ち
5.先立たれ食衰えし夜着よぎの母

では今日の一句です。

御仏は何も言わねど煤払い

暮には各地で一年の埃を落とす大仏様の煤払いが行われます。でも一番有名な奈良の大仏様の煤払いは「お身払い」と言って8月に行われています。何故なんだろうと思って調べたら、実は夏にお身払いを行うようになったのは昭和39年からでした。他のお寺と同じように年末に行うと奈良は寒い日も多く氷点下では金属製の大仏に手がくっついたりするなど事故が起こりやすかったのです。そこで時期をずらしお盆前の空いた時期に煤払いをするようにしたそうです。

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