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ジャニーズ問題 法務省

2019年3月に公開された映画「少年たち」のポスターが今、ネットで話題になっています。真ん中に書かれた「少年たち」の右横には制作総指揮 ジャニー喜多川と書いてあります。でも問題はそこではありません。話題となっているのはポスターの一番下にある法務省の文字と「守りたい 少年たちの輝く未来」の言葉でした。ジャニー喜多川の悪事が表に出た現在、この言葉がなんと虚しく響くことか、この言葉をそのまま法務省にぶつけたい気分です。法務省は2000年4月の国会でジャニーズ事務所の件を違法かどうか追求されたのではありませんか?「それが事実だとすれば」と言う前置きはあったものの「強制わいせつ罪や児童福祉法違反に該当する」と言っていたのではないですか?まさか2019年には既に時効だから大丈夫だと思っていたとは言わないでしょうね。このポスターは法務省の旧ツイッターについ2〜3日前までは残っていましたが、ネットが騒ぎ始めるとすぐに削除されました。

法務省は2000年に国会で追求されただけでなく、2004年にジャニー喜多川の犯罪が最高裁で認められた後も何の動きも取らなかったのです。法務省には人権擁護局と言う部署がありホームページには「一人で悩まずご相談ください。子供の人権110番 0120−007−110」としっかり出ています。まさか相談して来なかったジャニーズ事務所の子供たちが悪いとでも言うのではないでしょうね。この映画でのジャニーズ事務所と法務省のタイアップについては法務省が仕掛けたというより、政府やジャニーズ事務所とべったりの広告宣伝会社から持ち込まれた案件で間違いないと思います。ひょっとしたら法務省の幹部はポスターが出来るまで話を聞いていなかったのかも知れません。でもポスターが出来上がれば省内の壁にも貼られていたはずで2000年前後のジャニーズ事務所問題を知っている法務省幹部の目にも間違いなく入っていたでしょう。それでも法務省の幹部は昔から悪い噂のあるジャニーズ事務所との連携を認めたのでしょうか?ジャニーズ事務所の力がこんなところにまで及んでいたのかと思うと恐怖しかないです。

ところでこの映画は2019年3月公開なので、その後4ヶ月後に亡くなったジャニー喜多川が実際に制作総指揮をしたとはとても思えません。でもこの「少年たち」には長い歴史があり、この映画もジャニーズ事務所の看板ミュージカルだった「少年たち」の映画版だったようです。「少年たち 小さな抵抗」が初めて上演されたのは50年以上前の1969年のことでフォーリーブスの同名曲をミュージカル化したものでした。それ以降シリーズとなり1976年まで7回続きました。1975年に一度ジュニアによって上演されたもののそれ以降は上演されず、2010年になってなんと35年ぶりに復活しました。タイトルは「少年たち 格子無き牢獄」でした。今考えるとなんとも意味深長なタイトルです。この再演に当たっては演出の大部分を出演メンバーのジュニア自身が行っており、それが好評だったようでその後毎年のように公演されました。2016年「少年たち 危機一髪」では4年ぶりに牢獄の風呂場で出演者が裸になって踊る「桶踊り」が復活し、その後はこの桶踊りがミュージカルの名物になったようです。でも例の映画では流石にこの「桶踊り」は出て来ないそうです。このミュージカルはジャニー喜多川の死後も続いていて、今年も10月から新橋演舞場で上演が予定されています。ミュージカルそのものは素晴らしいものなのかも知れませんが、それは飽くまでファンとして楽しんでもらえばいい話です。昔から黒い噂があったジャニーズ事務所の映画にわざわざ法務省が提携して宣伝するとなるとやはり違和感を感じざるをえないですね。

その法務省ですが、一般的には余り馴染みがなく、法務大臣が死刑執行を承認した時にニュースになるくらいで普段何をしているか良く分かりません。組織図を見ると有名な検察庁が傘下にあるものの独立性があるのでほぼ別組織のようです。主要業務として刑務所や出入国管理がありました。この映画は旧奈良刑務所がロケ地のようで青少年の矯正つながりなんですね。そしてもう一つ重要な業務は人権擁護です。戦後何度か政府から独立した人権委員会の設立が検討されたものの実現することはなく、未だに法務省の1局のままです。これでは刑務所内での囚人に対する暴行や出入国管理の収容所における外国人に対する人権侵害などを防げるはずはありません。人権意識の低い日本ですが、ジャニーズ事務所の悪行だけでなく政府機関による人権侵害をきちんと指摘出来るような独立した人権委員会が早く出来るといいですね。

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