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門司の街

門司港の近くには古い建物が並んでいていい雰囲気ですね。そう言えばここで初めて瓦そばというものを食べました。本当の瓦の上に茶そばと錦糸卵が乗っかって来たのでびっくりです。でもよく考えたらざる蕎麦はざるに乗って出て来ていたし、新潟のへぎそばは「へぎ」というお盆のようなものに入って出てきますね。更に山形まで行くとへぎが板に変わって板そばです。でも「へぎそば」は蕎麦にふのりが入っていて味は他の地域の蕎麦とは全く違ってつるっとした喉越しで美味しいですね。話は門司からだいぶそれてしまいましたが、気を取り直して4句。

故郷の冷えし布団に汽車の音(季語:ふとん:三冬)

子供の頃正月に田舎に帰ると寝たくもないのに子供たちは早く寝かされました。障子越しに大人の声に聞き耳をたてていると遠くから蒸気機関車の音が聞こえて来ました。寒い夜のあの機関車の蒸気音は今でも時々思い出すことがあります。なんで機関車の句かというと門司港には直接貨物を船に運べるように電車の線路が港ギリギリまで来ていて駅舎もとても印象的だったので、そこから夜汽車への連想です。

赤レンガ乾風(あなじ)に打たれ今昔(季語:あなじ:三冬)

明治時代に筑豊炭の輸出港として栄えた門司はその後もセメントや紡績など扱う物は変わっても交通の要所として繁栄しましたが、戦後、主要取引国の中国との断交や関門トンネル・関門橋の開通で門司はただ通過するだけの町となってしまいました。ちょっと寂しいですね。

温つゆで心もぬくし瓦そば(季語:ぬくし:三春)

茹でた茶そばを炒めて具と共に温かい麺つゆでいただく瓦そば。入ったお店は元祖と銘打っていましたが、ネットで見ると瓦そばは元々、山口県が発祥ということなので下関経由で門司に来たのでしょうね。

ふぐ刺しを一気に掬いのち悔やみ(季語:ふぐ:三冬)

ふぐと言えば下関ですが、門司とは数百メートルの距離なので連想も海を超えました。

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