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木原事件 検察の出番ですよ

ユーチューブRMCAチャネルに出演している元検事の村上弁護士が木原事件の刑事告訴受理の後、捜査はどうなるのかシナリオを3つ想定していました。1つ目は自殺として書類招致するシナリオ。でも嘘を書くことになるので公文書偽造になり難しい。2つ目は殺人事件で捜査中として実質塩漬けにするシナリオ。その場合、自殺として矛盾はないと警察庁長官に嘘の報告をした捜査一課長は更迭となる。(とかげの尻尾切り)このシナリオは冷徹だが十分ありうる。3つ目は再々捜査を本当に開始するシナリオ。その場合、何故2006年に自殺と判断したか、何故2018年の再捜査が急に中止になったのかの解明も必要となる。これこそ期待するシナリオですが残念ながらこの可能性は少ない。村上弁護士の説明で印象的だったのは2つ目のシナリオで警察が実質的に動かないと組織犯罪として国家賠償のリスクがあると言うことでした。警察庁長官まで巻き込み、これだけ有名になった事件を果たして捜査したふりだけで済ますことが出来るのか甚だ疑問ではありますが、露木長官なら指示しそうな気もします。警察組織が殺人事件で間違いないと思われる本件をおざなりの捜査で有耶無耶にするとしたらそれ自体が「警察による組織犯罪」に当たると村上弁護士は判断しているのでしょうか?さらに言えばこの事件について検察が自ら動かないと警察だけでなく検察も含めて国家賠償のリスクに直面することになりますよと古巣の検察に警告しているのです。

今回の事件は17年前の古い事件である上に、当時の大塚署が始めから自殺で済ませようとして近辺の監視カメラの映像も確保せず、現場保存も十分ではありませんでした。さらには警察が犯人と協力して犯行の証拠を隠滅した可能性さえあります。そんな事件ですから犯人特定に繋がる物的証拠は極めて少なく、警察に刑事告訴しようと検察に刑事告訴しようと最終的にはX子ないしZ氏が自供しない限り起訴どころか身柄送致さえ難しいのではと悲観していました。でも今回村上弁護士の話を聞いて自分の判断の至らなさに気が付きました。村上氏は検察にも殺人事件の捜査能力は十分あり、捜査する際は再捜査を担当した佐藤元警部補を参考人として意見を聞くことも必要だと言っていました。それならば2006年当時の大塚署の警察官を取り調べるのが一番手っ取り早いのではないかとすぐに感じました。種雄さんの殺人事件捜査というより「警察の組織犯罪」に対する捜査と位置づければ、当初から自殺と決めつけ証拠の隠蔽ないしサボタージュをした大塚署の警察官を調べることは最低限必要なことです。当時の担当刑事が定年間近の60才だったとしてもまだ77才なので事情聴取は十分可能です。もちろん2018年の再捜査の際も当時大塚署勤務だった警察官から事件の概要を聞いていたとは思いますが、佐藤元警部補も「大塚署はミスっちゃったのかな?」と言っていたくらいですから身内に対する事情聴取は多分甘いものだったと思われます。でも今回は2018年当時とは全く事情が違います。なにしろ警察庁長官が捜査一課長に嘘をつかせて事件性なしにしようとした案件だと国民はよく知っています。検察が警察の捜査そのものの是非まで調べることになれば何故自殺と判断したかも含め大塚署勤務だった警察官への聞き取りは今までとは全く違ったものになるかも知れません。取調べの過程で種雄さん殺害実行犯の特定に繋がる証言を得られることだってあり得ます。そうすればX子やZ氏の自供がなくても殺人事件として送致することが出来るかも知れません。村上弁護士の言うように検察が国家賠償リスクという大きな枠組みの中で捜査をすれば警察だけの殺人捜査よりもはるかに真相に近づく可能性が高まりそうです。我々は決して悲観する必要などないですね。

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