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木原事件 遺族が検察官と面談

12月25日に行われた安田種雄さん遺族による担当検察官との面談の様子を元テレ朝法務部長の西脇氏が現代ビジネスに寄稿していました。その記事で遺族はこれまでも検察官に対し何度か面談を申し入れていましたが、その度に断られていたことも分かりました。今回は大塚署の捜査結果が正式に検察に送付されたことを受けて漸く実現したようです。遺族は警察から検察に手が回っているのではないかと不安な気持で面談に臨んだようですが、検察官は目を見てしっかり遺族の話を聞いてくれたと言うことです。それでも最初は重たい空気が続いていて、その空気を一変させたのが母親の涙の訴えだったそうです。その訴えに応えるように検察官は「これはしっかりやらないといけない事件です」と語りかけました。そんな流れの中で弁護士は今後の捜査方針について「検察官は独自に捜査するのか、それとも警察に捜査させるのか」と聞いています。答えは「両方ありうる」と言うことでしたが、少なくとも検察の独自捜査の可能性があることはいいニュースです。更にスケジュールについて弁護士が聞くと「じっくりやる事件だと思います。だから期間とかを申し上げることは難しい」と言うことだったので、警察の捜査結果をそのまま受け入れることはなさそうです。最後に母親が床に手をついて捜査を懇願すると「頭をあげてください。しっかりとやりますので」と心強い言葉が返って来たことも記事には書いてあり、取り敢えず日本の検察の良心を信じてもいいのかなと言う気になりました。集まれニュースの森の金子吉友氏の話ではこの検事は優秀な検事のようなので本当に期待が持てるかも知れません。

私は今でも本当に大塚署が「事件性なし」と言う明確な結論を付けて書類送付したとは信じられません。しかし遺族が新聞報道のあと実際に大塚署に電話して確認しているので「事件性なし」で間違いなさそうです。なんで事件そのものを隠蔽している警察に対して刑事告訴するのか、検察に直接刑事告訴すべきではないかと言うコメントがネットに溢れているようですが、こうやって警察が明確に「事件性なし」とした事実が文書で残ると言うことは、今後警察に対し国家賠償請求や偽造公文書作成の訴訟をする際に重要な証拠にもなると思います。警察そして検察と順を踏むことで漸く検察との面談も実現した訳で、警察に刑事告訴したことは決して無駄ではなかったような気がします。

記事に戻りますが、独身となりテレ朝も退職した西脇氏はこの件を弁護士・ジャーナリストとして遺族に寄り沿いながらしっかりと取材をしているようです。「事件性なし」との警察判断に落胆した遺族が藁をも掴む気持で種雄さんの友人知人を訪ね、独自の聞き取り調査をしている時も遺族に同行していたようです。2018年の再捜査で事情聴取を受けたと言う知人の話では、警察から供述調書を作っておくので次回にサインをしてもらいますと言われたものの、その直後に捜査が終了し、供述調書にサインをすることはなかったと言うことでした。そんな話を複数の人から聞いたと書いてあるので再捜査の資料がどれだけ警察に残っているのかと不安になりました。

もし検察が独自捜査をすることになったとしても捜査自体はなかなか大変そうです。想像するに検察はまずこれが殺人事件であるかどうかを判定することから始めるのでしょう。この点は死体解剖報告書や死体検案書、現場写真などで比較的簡単に結論が出るのだと思います。問題なのは再捜査の際に飛び出した、Y氏が「X子が種雄さんの死後に電話して来て、刺せと言うので刺してしまったと聞いた」と言う証言が録音され実際に警察に残っているのか、佐藤元警部補のX子取調べ記録が残っているのか等など再捜査の有力な資料が保存されているのか、それとも破棄されているのか、がとても気になります。遺族が提出した被疑者不詳の刑事告訴状の中にも「Y氏が事情聴取すべき重要人物である」と書かれているそうですが、そこから捜査を始めるのか、それとも使える捜査資料が残っているのかで今後の捜査時間は相当違うと思います。時間がかかるかどうかは別にしても捜査が2018年突然中止された時点まで辿り着くことはなんとか出来るでしょう。検察は佐藤元警部補からもきちっと事情聴取するでしょうし、勿論文春に連載された「ホンボシ」のコピーは今回提出された資料の一部として検察に渡されているはずです。問題はその後どうするかです。前回と同じようにX子が黙秘することは目に見えています。Z氏だって当時途中から一切事情聴取に応じていないことから今回も供述を得ることは難しそうです。

ではどうすればいいか?ここで検察の力が有効に働くのではないかと私は思っています。捜査などやる気のない警察には無理ですが検察なら2006年当時大塚署にいた警察官を取り調べることが可能です。事件当日に大塚署を訪れたZ氏とどんな話をしたのか、事件後にZ氏やX子とどんなやり取りをしたのか、何故壮絶な事件現場なのに早ばやと自殺と判断し、捜査一課の臨場を要請しなかったのか等、聞きたいことは山ほどあるはずです。全ての警官から聞き取りをすれば中には心ある警官がいて正直に話してくれることもあるのではないかと期待しています。

そうそう露木警察庁長官を検察に告発していた日本タイムスの川上社長の話ですが、根拠なし趣旨不明として三度返戻されていた告発状が四度目にして違う反応が返って来たようです。なんと最高検から本件は東京地検に回付したと言う回答が川上社長に届いたそうです。これで告発状が受理されたという訳ではありませんが、一歩前進したことに間違いありません。来年早々に露木警察庁長官が交替すると言う噂もあるようで、ひょっとして遺族の刑事告訴と川上社長の告発状が同時並行で進むことだって夢ではないのかも知れません。少しだけ心が明るくなって来ました。

ちなみに上の絵は私の水彩画です。遺族が猫好きと聞いて掲載しました。

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