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桃太郎聞かせし部屋や秋日和

なんで桃太郎なんでしょう?実は桃の絵を描こうとしたのですが、この前、梨を描いたし、そのまま桃を描くのもな〜と思っていたらNHKで桃太郎の話をやっていたことを思い出しました。日本中に色々な桃太郎伝説があってストーリーもいろいろです。でもやっぱり「桃太郎さん桃太郎さんお腰に付けた吉備団子一つ私にくださいな!」の吉備が桃太郎伝説の本場だと思いますね。大和から派遣された軍人が吉備を平定して吉備津彦きびつひことなり、その後吉備を治めたのでしょう。本来なら吉備の人が鬼のはずなのに、勝てば官軍で都合のよい物語に変えたのでしょうね。

俳句をやり初めてちょうど1年が経ちました。そろそろマンネリ化して自己流俳句の限界も見え始めました。そこで今更ですが初心者の為の俳句入門書を買いました。藤田湘子さんと言う水原秋桜子のお弟子さんにあたる人が書いたものです。一応1年間、俳句を詠んだおかげで作者の意図が割とよく分かりました。俳句の4つの基本形が書いてあり、昨日はその第一弾「上五が季語+「や」、中七と下五で季語と無関係の文章を作り下五を名詞で終わらせる」パターンで詠んでみました。季語と無関係の文を繋げた句を「配合の句」別名を「二物衝撃」と言います。全然違う2つの事柄が「や」などの切字でぶつかり合うことで配合と言うそうです。実は「一物の句」と言う一つのものだけを詠う方法もありますが、一つのことを詠うと「なんだそんなことか」、「それがどうした」となりやすいのです。従い一物の句には深い洞察力、観察力が必要なんですね。初心者は止めておけという話です。配合の句だと2つのことがぶつかり何かの連想を生み、もっともらしい俳句になるんですね。

昨日の鶏頭は季語が難し過ぎて全然駄目でした。鶏頭が鶏の頭を連想させて植物のケイトウによる連想が出て来ません!「鶏頭」の文字が持つ力、恐るべしでした。さて、今日は基本形の第二弾「上五と中七で文章を作って「や」で終わり、下五に季語を入れる」パターンです。でも上五か中七に季語を含んだ応用編もありです。この基本形も飽くまで初心者向けなので配合の句が前提です。

「桃太郎孫に語るや秋日和」「桃太郎孫と話すや秋日和」うむむ!孫に語るなどが秋日和と余り衝突していないですね。そう言えば孫とか子を入れると陳腐になりやすいとも書いてありました。そこで

桃太郎聞かせし部屋や秋日和


部屋にすることで少し衝突しました。昔、この部屋で桃太郎の話を読んで聞かせていたなと回顧する句になりました。これでなんとか配合の妙になりました。

次は日本一の旗を見て一句
「天下取り目指し挫折やきりぎりす」
自分の心情を句にするのは難しいから止めた方がいいと書いてありましたが、これに逆らって自戒の句を作ってみました。直接表現するからいけないのでそれを匂わすのはどうでしょう?いやそれはキリギリスの役割かな?

今よりも上に行けぬやきりぎりす

何のことを書いているのか分かりません。キリギリスが先へ進めない状態なのか、それとも山登りの途中なのか、まさか遭難現場か?でもサラリーマンの悲哀にも聞こえなくもないですよね。あそこで一生懸命頑張らずに遊んでいたからその先へ行けなかったのかなとか、いやそれでも色々楽しんだからまあいいかとか。キリギリスを眺めながら思いに耽るサラリーマンの姿が浮かんで来るでしょうか?


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