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二十数年ぶりに母校を訪問した話「札幌西高校文芸部訪問記」


札幌西高校文芸部を訪問しました

去る6月13日、母校の札幌西高校を訪れる機会がありました。大変遅くなってしまったのですが、この記事はその日の記録です。

この体験は自身にとって稀有なものであり、大変大きな意味を感じとりました。
突然ですが、こんなことを言われたらどう感じますか?

「タイムマシンはすでに存在しているんだよ。だってほら、この日記を読んだら僕はいつでもあの日に戻ることができるのさ」

これまでの僕なら、これを詩的な言葉と捉えるのと同時に「気障な物言いだ」と一笑に付していたかもしれません。
あるいは、「同じことを言うにしても、自分はこんな表現をとらない」とも思ったと思います。

その僕が、あえて次のように表現したいと思いました。

母校を訪問することは、タイムマシンに乗って10代の頃の自分に会いにいくような体験だ

心から、そう思いました。
体験してみてはじめてそのことばの価値がわかることもあるのだなと思いました。

発端

この訪問は、ひょんなことからお知り合いになった漫画家の町田すみ先生の同行で実現しました。町田先生が「札幌か近郊の学校の文芸部を取材したい。在校生や卒業生でご紹介いただけないか」とX(旧Twitter)に投稿されたポストを偶然見つけ、本当に気軽に返事をしたことがきっかけになったのです。
まさかこれが後にOBとして母校を訪問するきっかけになるとは思いませんでした。

(下記がそのときのやりとりです↓)

札幌西高校文芸部は存続していた!

その後、町田先生がご自身で確かめられたところによると札幌西高校文芸部が現在も存続していることがわかりました。
存続どころか、ここ最近毎年のように「全国大会」で入賞する部員がいるといういわゆる強豪校らしいとのこと!
僕が在籍していたころには、文芸部の全国大会という枠組みがなかったように思います(あるいは、参加するほどの積極性が部員になかったのかも?)。

町田先生が顧問の国語の先生に連絡をとられ、「6月13日に訪問できることになりました」と教えていただきました。

そこで、私もその日にあわせて有給休暇を取得して同行させてもらうこととなりました。

当日の町田先生との待ち合わせ

西高校への訪問は16時の約束でした。
町田先生とは事前の打ち合わせがてら、高校の近所のフレッシュネス・バーガーに15時に待ち合わせをしました。
これからの訪問で部員の方にお伺いする内容、
僕が在籍していた当時の札幌西高校での思い出を話したり、参考になるかと思い実家に保管していた文芸部の定期刊行物「くわばたけ」を町田先生に見てもらったりしました。

札幌西高校文芸部刊行物「桑畑(くわばたけ)」
「くわばたけ」の1ページ
(この頃はテキトウに「タイトル」を考えて、それに合う短編をたくさん書いてました……。そう、これは僕が書いた作品のページ)

ついうっかり話し込んでしまい、訪問時間ぎりぎりになってしまいました。慌ててお店を飛び出しタクシーを拾い、なんとか西高に間に合ったのもよい思い出です。

24年ぶりに入った校舎!

学校に着くと、顧問の先生と文芸部の部長の生徒さんが出迎えてくださいました。そのまま文芸部の部室に案内されました。
僕は西暦2000年に卒業の第50期生。現在までに校舎の建て替えなどはなく、実に24年ぶりに入る母校でした。
顧問の先生と部長に案内されながら、懐かしい思い出が一気にフラッシュバックしました。
特に思い出深いのが、玄関から入ってすぐの「アトリウム」という名前がついた空間。
1階から3階まで吹き抜けになったフロアの呼称で、高校3年間の通学の日は必ずこの場所を目にする。そのため、学校生活の思い出の多くがこのアトリウムを見ることでよみがえります。

アトリウムを2階から眺めた風景
(2000年札幌西高校卒業アルバムより)

懐かしの「お弁当スペシャル」!

思わず顧問の先生に「もしかしてまだお弁当スペシャルってやってますか?」と尋ねました。すると、
「やってますよ!"ちょっと待ったー!"っていうのも健在です」と答えてくださいました。

この「お弁当スペシャル」「ちょっと待った」とは、毎年の恒例行事である運動会に連動した札幌西高の文化です。
運動会ではクラスから数名の生徒を募り、男子生徒は応援団、女子生徒はチアガールを結成します。
運動会1週間前くらい前のお昼休みに、アトリウムに数人の応援団の男子生徒が集まり、ひとりずつ女子生徒の名前を呼び「◯◯さん!僕にお弁当を作ってください!」と叫びます。
そのあと、片膝ををついてうつむき、片腕を前に出して握手を求めるポーズをとります。
呼ばれた女子生徒は「OK」であればその男子に近寄り握手をして、「NG」であれば断ります。

そして、自分がお弁当を作って欲しい女子生徒の名前を先に叫ばれてしまった男子生徒は
女子生徒が結論を出す前に
「ちょっと待った〜!◯◯さん!僕にお弁当を作ってください!」と割り込み、先に言った男子生徒の横に並び同じポーズをとります。
複数の男子生徒から名前を呼ばれた女子生徒は誰かひとりを選び握手をするか、全員無視するかを選びます。
ある種アトラクションのような意味が強いとはいうものの「公開告白」にも似たパフォーマンス。
多くの野次馬たちがアトリウムに集まり、握手の行方を見守ります。

ああ、懐かしい。
この会話を僕と顧問の先生していた横で町田先生が「何のこと?」という顔をされていたのも印象的でした。
顧問の先生と一緒に「西高校用語は西高校関係者じゃないとわからないですよねー笑」と笑いました。

現役文芸部部員さんとの交流

ほどなくして、札幌西高文芸部の部室に着きました。
顧問の先生は「私は職員室におりますので、自由に部員とお話ししてください」と気を遣ってくださりすぐに退室されました。

部員さんたちへのご挨拶の後、町田先生が早速部員の方々にインタビューを始めました。
「文芸部の普段の活動内容」や「年間スケジュール」、部員の皆さんはそれぞれ「どのような作品を作っているのか(小説、短歌、俳句など)」について町田先生がテキパキと進められました。

部員の皆さんたちの印象

僕も横で聞いていて、たまに自分が疑問に思ったことなどを質問させていただきました(今思うと、黙っていた方が町田先生のお邪魔にならないために正しかったと思いました😅)。

僕が驚かされたのは、部員の皆さんの受け答えや考え方が非常に大人びていたこと。
考えている視点も興味深く、自分とは全く違った角度から世界を見ているようにも思えました。

ふと「24年前の自分がこの場にいるとして、同じように興味深い受け答えはできているのだろうか」との疑問を持ちました。

もしかしたら、高校生の頃の自分だってその時の大人から見て自由な発想で受け答えをしていたのかもしれません。
いやいや、それは不可知ではありますが今の自分から見て、この16歳から18歳の高校生たちがこんなにもまともで大人びた意見を持っていることはやはりすごい。
そして、ほとんどの質問に対して悩まずに即答される姿に普段から自分の意見や考えをoutputしている姿を想像できました。

「さすが、札幌西高!さすが、文芸部!」と終始心の中で拍手を送っていました。
今の自分に足りないものを気づかせてくれたようで、大変刺激になりました。

いただいた文芸部のフライヤー

文芸部の勧誘をするためのフライヤー(2024年度?)

格好いい!こんなに格好いいフライヤーをみたら、文芸部に興味持ちますよね?

後日収録した町田先生へのインタビュー

今回の訪問目的は町田先生の取材として、部員に対してインタビューをすることでした。その目的は訪問中に果たすことはできました。しかし、実は部員の皆様からも「町田先生にインタビュー」をしたかったとのことで、それは時間切れで行うことができませんでした。

そこで、後日Xのスペースを使って町田先生と札幌西高校文芸部の皆様でお話をする場をつくられていました。
下記のリンクでそのアーカイブを聴くことができます。
僕も途中で参加をさせてもらいました。
「創作」というテーマについて、めちゃめちゃ刺激を受けたスペースです。
超面白いのでぜひ!

創作をする意味についても考るきっかけになった話

今回、札幌西高校文芸部の現役生の皆様と町田先生との交流を通じて「創作をすること」の意味についてを考えるきっかけにもなりました。
それは、「自分の魂の居場所をつくること」。

単に「居場所」であれば、帰属する組織、物理的な場所によってもつくることができる。

でも、「魂の居場所」は外部や他者頼みではつくれないのではないかと思う。

自身から発信して表現する=創作する

を通じてしかできない居場所がある、と思う。
いろいろ端折っての結論のみの表現となったので、これはまた場所を変えて表現していきたいと思っています。

VIVA!札幌西高校文芸部

今回、漫画家の町田すみ先生と札幌西高校文芸部の現役生の皆様のおかげで大変貴重な体験をさせてもらいました。
町田先生が描かれる文芸部の漫画も超楽しみです!
そして、町田先生、西高文芸部の皆様のますますのご活躍を心より祈念いたします。


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