【読書記録】アリアドネの声

ネットで検索した<あらすじ> と <私の感想> を書いています。
基本的にネタバレは書いていませんが、作中に出てくる登場人物のセリフを引用することがありますので、そういったものも不快に感じられる方は閲覧注意してください。

___________________________

タイトル:アリアドネの声
作者:井上 真偽
出版社:幻冬社
読了日:2024/01/25

<あらすじ>
巨大地震発生。地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。
光も音も届かない絶対迷宮。
生還不能まで六時間。
想像の限界を超えるどんでん返し。

救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを作成するベンチャー企業に就職する。
業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。
それは「見えない・聞こえない・話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)として活躍する中川博美だった一一。
崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。
およそ六時間後には安全地帯への経路も絶たれてしまう。
ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。

<私の感想>
ちりばめられた伏線をどう回収するのか、章ごとにいろいろな問題が起きているので、飽きることなく読み進められた作品でした。
個人的に、読書をするにあたってとても読みやすい作品だと思います。
普段ホラー小説ばかり読んでいる私には、ストーリーの内容的に、正直物足りない感は否めませんでしたが…。
けれど、主人公の高木の座右の銘だった「無理だと思ったら、そこが限界」という言葉の解釈について、ハルオは言葉通りの意味を、中川さんは「人にはそれぞれ限界がある。だから無理だと思ったら潔く諦めて、もっと自分にできそうなことを見つけて、そちらに目標を切り替える」という意味を持たせていました。
一つの言葉や信念に縛られて融通が効かない。そんな経験を私もしたことがあるから、主人公には共感する部分がありましたし、中川さんの解釈を知った後のハルオの、のびのびとした発想はとても爽快に感じられました。
物語として、とても綺麗にまとまった作品だと思います。
ずっと同じジャンル(私の場合はホラーミステリー)ばかり読んでいると、読書自体に飽きたり、小説の雰囲気に飲まれて気分が沈んでしまうこともありますが、テンポよく進んでいく本作はいいリセットになりました。
夢は無理をして叶えるものじゃない。だって夢はドキドキワクワクして、楽しいものだから。
そうやって本当の夢を語る中川さんは、実在している人物の言葉よりも、私の心に響く言葉を残してくれました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?