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昔のことなんかどうだっていいのにやけに最近思い出すようになった


櫻坂46として初めての東京ドーム1日目。
アンコールで突如流れ始めた“欅坂46”のOverture。
観客の今まで堪えていた声が漏れ始め、会場は緑のペンライト一色に染まった。
私は、とても悔しかった。















緑色の会場が表す残酷な現実


私は櫻坂46の東京ドーム公演を見に来た。
そのはずだった。
あんなにも楽しかったライブが、一気に自分の中でどういう感情でいるのが正解なのかが分からなくなった。
当然のことながら、私は欅坂46が好きだ。
私は欅坂46の楽曲をライブで実際に聴くことが出来ていなかった。
本来ならば、こうして欅坂46の楽曲を披露してくれることは喜ばしいことだと思う。
最初は嬉しくて仕方がなくて、ペンライトを緑色に変え、全力で振り続けた。
そしてOverture明けに流れたアンコール1曲目、10月のプールに飛び込んだ。
リリースされるはずだった欅坂46の9th Singleの表題曲だ。
私はこの楽曲がとにかく好きで、辛いことがあった時も、この楽曲に救われてきた。
とにかく嬉しいという感情だけでこの曲のイントロを聴いていた。
しかし、そこにセンターである森田ひかるさんの姿はなかった。
イントロ明けの歌い出しに、辛そうな泣き声が一瞬入った。
そこから私は色々なことを考えてしまった。
これを書いている現在も、あの時何故森田ひかるさんがいなかったのか。メンバーが泣いていたのか。何も分からない。
もしかしたら、そういうことなのかもしれない。
そう思った時から、私は緑色のペンライトを振ることは出来なかった。
緑色のペンライトを振ることは、彼女たちの2年間を否定しているのではないかと、思わずにはいられなかった。
ふと会場をこの目でしっかりと見てみた。
あまりにも残酷だった。
欅坂46を求める声の大きさを身に染みて感じた。
感じたことのない声やどよめき。
アンコール前からペンライトを緑色に染める人もいた。
辛くて辛くて、どうしようもなかった。
私はアンコールの記憶が、10月のプールに飛び込んだのイントロ以降はっきりとしていない。放心状態だった。
彼女たちの2年間の頑張りをこの目で見てきて、そしてその集大成の場が、最後は緑色に染まった。
一度はその色にしてしまった自分に苛立ちが募る。
櫻坂46が大好きなのに、櫻坂46を否定してしまった。
その後悔の気持ちと、残酷な現実に私は押し潰される形でこの日は終わってしまった。















それでも櫻は咲いていた



アンコールを見て感じた後悔や悔しさと同じくらい、私は希望と未来を感じた。
今回のツアーは演出の都合上、ライブ開始から最初のMCまでサイリウムの使用が制限されていた。
これらは、櫻坂46というグループの世界観により浸れるようにと組まれた演出だった。
この演出がとても良かった。
ステージにより集中が出来たし、メンバー個々のパフォーマンスもじっくり見ることが出来た。
東京ドームという広い会場で、どこの席にいても楽しめるように工夫がされており、メンバーを遠くに感じることがなかった。
これらの演出やステージ構成もさることながら、メンバーのパフォーマンスがやはり素晴らしかった。
私が最後に櫻坂46をこの目で見たのは、去年の1st TOURのさいたまスーパーアリーナの公演だった。
あれから一年が経ち、あまりの成長具合に驚いた。
特にそれを実感することになったのは、流れ弾という楽曲のパフォーマンスだった。
この楽曲は振付を担当されているTAKAHIRO先生自身が、休む暇がないと言っているぐらいにはずっと全てのメンバーが動きっぱなしでフォーメーション移動も複雑だ。
去年の1st TOURがその流れ弾のライブでの初披露の場だった。
その時も彼女たちのパフォーマンス力の高さに驚くばかりだったが、1年後の東京ドーム公演では明らかな違いがあった。それはメンバー自身のパフォーマンスにおける余裕さだった。
休む暇がなく常に激しい動きとフォーメーション移動がされる流れ弾。
一部のメンバーが楽曲内で台詞を言う際に、去年の段階では息切れする声などが入るなど、かなり必死さを感じさせるパフォーマンスだった。
それが今回の東京ドームの舞台では全く必死さを感じさせないパフォーマンスに変わっており、メンバー自身の表情も楽曲の世界観に合わせたものになっていた。
特にセンターの田村保乃さんは凄かった。
鋭い目でこちらを睨みつけていたと思ったら、今度は狂気的な笑顔をしていたり、この楽曲が持つ異様さを表情一つで表現してきた。
流れ弾は最初のMC前の鬼セトリブロック(勝手にそう呼んでいる)のトリを務める楽曲。
それに相応しいと思わせる、田村保乃さんのこの楽曲に対する責任感や様々な思いが、あの表情や表現を生み出した。
最後の不敵な笑みには思わず声が出そうになるくらい、流れ弾と田村保乃に全てを持っていかれた。
これだけでも私はこのグループの持つ力に圧倒され、希望や未来を感じた。


しかし、この後にやってきたNobody’s fault。
これが本当に良かった。
櫻坂46の1st Singleの表題曲。
常に全力でパフォーマンスしてきたと思うし、私たちには計り知れないメンバーたちの思いがこの楽曲に詰まっていると思う。
この楽曲の初披露の場は、無観客だった。
それが2年の時を経て、東京ドームという大きな舞台で披露されることになるという事実。
それだけでも私は涙が出そうになった。
そしてこの目で見て実感した。

このグループは無敵だ

彼女たちはいつも、どんなに心無い言葉や意見にも全てパフォーマンスで応えていた。
今回のNobody’s faultはそれの最高傑作だった。
このパフォーマンスを言語化するのは難しいし、何より必要が無いと思う。
実際に見ないことには分からないし伝わらない。
ただただ良かったのだ。
私はこのグループの最初のセンターが森田ひかるさんで本当に良かったと、そのパフォーマンスを見て思った。
辛かったと思う。誰よりも色んな意見が向けられ、全ての責任が自分にあると感じざるを得ないポジション。
それでもそこに立ってくれて、全力でぶつかってくれて良かった。
そんなことを感じる最高のパフォーマンスでした。ありがとう。
彼女たちに何回でも伝えたい。
あの瞬間、そこには櫻が咲いていた。


















新たな物語の始まり


こうして一日目を終えた私。
様々な感情を抱え、帰りの電車に揺られながらも泣きそうになる。
2日目はどうなるのだろうか。
感じた悔しさ以上に、希望や未来を感じる公演になるのだろうか。
2日目は菅井友香さんの卒業セレモニーもある。
欅坂を見に来る人が多いことは分かりきっている。
櫻坂46として歩んでいる姿を、見せることが出来るのか。
そんなことを思いながら迎えた2日目。
そして、この目で見て感じたのだ。
今回の東京ドーム公演は1つの物語であり、2日間見ることで完結し、そして新たな物語が始まるということを。

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