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透析とは【今日の医学 vol.9】

腎臓の機能が正常の10%以下に低下すると、尿から老廃物や水分が適切に排泄されなくなり、尿毒症・水分過多による心不全等の症状が出てくる危険性がある。その際に、透析や移植などの腎代替療法(腎臓の機能を代行する治療)が必要となる。


また、腎機能が正常の15%以上あっても、尿毒症の症状や高カリウム血症、
心不全などがあり、適切な治療によって改善しない場合は、治療が必要。
(透析導入適応の基準が60点以上)


慢性腎臓病に対する透析療法は一度開始すると、永続的に治療が必要。
透析療法には血液透析腹膜透析の2種類の治療法がある。


【血液透析:血液を透析器を介してきれいにして戻す】
◆自身の腎臓の代わりに人工腎臓のフィルター(ダイアライザー)を介し て、血液から老廃物・余分な水分を取りのぞく。
◆1回の治療で概ね4~5時間
◆週3回(月・水・金もしくは火・木・土)通院
◆医療機関で治療を行うため、時間的拘束はあるものの、医療者にお任せで治療を受けることができる。
◆血管に針を刺し(穿刺)、血液回路(チューブ)につなぐ。毎分200ml程度取り出してダイアライザーに通す必要があるため、十分な血液を供給するための血管(バスキュラーアクセス)を作成する。
◆シャント手術:動脈と静脈をつなぐ手術。手首に作成。
◆手術後、動脈から静脈に血液が流れ、皮膚の表面に流れる静脈の血管が拡張し、穿刺することも容易になる。針は、血液を取る側(脱血)と返す側(返血)の2本刺す。

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【腹膜透析:おなかにカテーテルを入れて、透析液を出し入れする】
◆腹膜という自身のお腹の中のスペース(腹腔)を包んでいる膜にある毛細血管と腹腔に注入した透析液を介して、老廃物・余分な水分を取り出す。
◆睡眠中の時間を用いて透析液をお腹に貯留しておく方法や、日中に1~4回程度の透析液の交換を行う方法がある。
◆自宅で自身の手技により行い、通院は月に1回程度です。
◆時間的拘束が少なく、社会的活動が可能であり、行動範囲の制約も少なくなる。
◆治療開始前には、予め腹腔内に透析用の管を手術で入れておく必要があります。


日本全国で約32万人の透析患者がおり、97%の方は血液透析
腹膜透析は、透析時間の拘束がないため活動の自由があるが、
自身での手技獲得や7~8年で腹膜の機能低下により、
血液透析に移行しなければならない等の制約があり、
3%程度の普及に留まっています。


透析療法そのものに腎臓をよくする作用はなく、腎臓の働きを完全に補うものではない。
生涯続けていく必要があり、続けていくことでいくつかの合併症(副作用)が生じる。
(ex.不均衡症候群、血圧変動、出血傾向、シャント・トラブル)


参考:





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