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カレー


「KirinGoodさぁ、一番好きな食べ物って何?」
「カレーですね。」
「カレーって(笑)」


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こと日本において、カレーを知らない人間は存在しない(そんな奴は人間じゃないの意)
ファミレスでは大抵メニューに載っているし、街を歩けばインドカレー屋のような専門店も多い。
家庭料理としても人気が高く、スーパーマーケットには多種のルゥが並ぶ。
大人も子供も、おねーさんも、皆がカレーを食べている。
そうこの国はカレー大国…

そんなカレーが私は好きだ。
間違いなく一番好きだ。目に入れたって痛くない。
定食屋ではカレー定食を食べるし、居酒屋でもメニューにあれば注文する。
ハンバーグ屋ではハンバーグカレー、とんかつ屋ではカツカレー、こんなものは序の口だ。
ラーメン屋ではラーメンカレー、八百屋では野菜カレー、ホームセンターではドリルカレーを注文するくらいカレーが好きだ。
私はカレー狂いなのだ。どうだ参ったか。はっはっは。
はぁ、カレー食べたいな。

本記事冒頭の会話文は、私が人生で何度も何度も繰り返してきたやり取りである。
私の一番の好物がカレーと知ると、奴らは急に嘲りを含んだ笑みを浮かべる。
「カレーって(笑)」
この言葉の後には、「子供みたい(笑)」だとか、「もっといいもん食えよ(笑)」といった言葉が続くに違いない。
実際に続くことだってある。
何なんだこいつら。カレーを馬鹿にしてるのか?

たしかにカレーは何処でも食えるし値段も安い。
一番の好物として挙げるにはいささか庶民的過ぎると言われても否定はしない。
でも美味いじゃん。美味いでしょ。
安価だからって下に見ていないか?
格調高い高級料理が好物だと言えば満足か?
仔羊のローストだの真鯛のアクアパッツァだの赤ワインソースの何某だの、高級フレンチのコースに名を連ねるようなものを期待していたか?
バカタレが。
私からしたらそんなもの腹にも溜まらなければ、高級店にいる緊張で味もわからない。

勿論、人々の嘲笑に「あなたは何が好きなのよ。」と反撃に出ることもある。
「う~ん、寿司かな。」
驚きである。
ごはんにカレールゥを掛けただけの物を見下す人間の好物は、ごはんに刺身を敷いただけの物であった。
「この前も銀座で〇〇円くらいする寿司食ってさー…」男は続ける。
こいつが寿司好きなのは、ただ値段が高いからだと見て間違いない。
板前が丹精込めて握った寿司でも、「うわー、〇〇円の鮪かー。」としか感じないんだろうな。寿司の単位を”貫”じゃなく”円”で見てやがる。
困ったことにこんな奴に限って「本物の寿司屋は素材が違うよ。」などと通ぶったことを言い始める。
本物の寿司屋ってなんだよ。
私が通っている一皿百円の回転寿司はまがい物だというのか?
素材に関してもそうだ。ししゃもとキャペリンの違いもわからない癖に、素材がどうとか語るもんじゃない。
なんて、こんなこと言えるはずもなく、現実での私は「寿司っすか!!」みたいなリアクションをするばかりである。
あぁ情けない情けない。

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「KirinGoodさぁ、一番好きな食べ物って何?」
「カレーですね。」
「カレーか!最高だよな!!」
「そうなんです!カレー、最高です!!」
「お前の話聞いてたらカレー食いたくなってきたな。」
「今から行きましょうよ!近くの美味いカレー屋知ってるんで!」
「そいつぁいい案だ!おい野郎ども!行くぞぉ!!」
「「「「「うおーーーーーーー!!!!!」」」」」

──────────こんな未来を信じてる。


追伸
池袋にある”こせり”というお店のカレー、オススメです。

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