今この瞬間この曲を聴いているのは私だけ
音楽を聴くのも、楽器を演奏するのも昔から好きだ。
初めて買ったCDは田村直美さんの「ゆずれない願い」。
アニメ『魔法騎士レイアース』のオープニング曲である。
アニメをみて買ったわけではない。
当時、よく遊んでいた友達の家でこの曲がかかっていて、
聴いているうちに私も欲しくなって父親に買ってもらった。
ビデオテープのVHSが主流で、CDは8㎝の時代。
買ってもらったのはザ・ローカル感漂うレンタルビデオショップ。
『初代プリント倶楽部』が店内の片隅にあり、地元の人はこぞってプリクラを撮りに行っていた。
1990年代のJ-POPは今でもよく聴いている。
曲を聴いていると、
『今、この瞬間、この曲を聴いているのはひょっとして私だけじゃないか』
と、とんだ思い込みに走ることがある。
ヒット曲がない、あまり知られていないアーティストの曲を聴いている時は、特にそう思う。
『今、この瞬間、私以外、誰も聴いていないだろうなぁ』
そう思うと、特別な感覚が生まれる。
私とその曲だけの世界に浸っている。
今、この瞬間、ミスチルの『Tomorrow never knows』を聴いているのは、この世界に150人はいるかな。
今、この瞬間、サムエルの『ラストチャンス』を聴いているのは、この世界に20人はいるかな。
今、この瞬間、『ゴーストスイーパー美神令子のオープニング曲』を聴いているのは、この世界に私ともう1人ぐらいはいるかな。
といったように、このタイミングで誰もこの曲を聴いていないだろうな、という曲ほど不思議な感覚に浸れる。
そして、この瞬間、へんてこな文章を書いているのはこの世界で私だけだ。
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