見出し画像

大学での非常勤講師低報酬や、広域通信制高校での収益事業化はやめませんか

 正直、持続不能なんだと思うんで、悪弊はやめたほうがいいと思うんですよ…。

 関係先(情報法制研究所)でのアプローチもありますので、いろんな学校法人さんや大学のコンプライアンスを扱わせていただくこともあるんですが、大学の学内だとしても法的な問題が起きていたのだとしたら報酬をもらって対処したら非弁行為になります。

 また、不祥事などを巡って学校が当該学生などを処分する場合、その子の未来もまた奪うことになりかねませんので、単純な前例主義で放校・退学処分をすることは問題になります。刑事事件でさえ冤罪捏造が問題になるからこそ死刑制度の反対・廃止が議論されているのと同様に、あくまで当事者からの事情を聞くだけで具体的な証憑類の確認があって起訴され有罪になったわけでもない子どもの所業に対して学校が一方的に処分するのは困難なこともまた多いわけです。

 ところが、大学側も「学内処分に過ぎないから」ということで弁護士資格のない教員が大学理事としての立場で子どもの行為を断罪し処分を下し、不満があるなら裁判でもなんでも起こしてくださいというのはさすがに乱暴だわなあとも思います。

 さらに、最近では実務家型教員と称して、特段の学識のない著名人や企業経営者などを招聘教授や特任教授として迎え、格安の料金で学問を志して入学してきた学生の教育の現場に充てるという事例が非常に増えてきました。以前は社会人大学院がMBAコースなどの充実のために実務能力のある元創業者や上場企業経営陣などを呼んでくるエサとして大学のポストを乱発させることも問題になっていたわけなんですが、最近では学部生の、ただのリベラルアーツ部分で実務家型教員が授業を担当しシラバスを並べようとする事例まで出てきました。大丈夫なのかと思ったら大丈夫ではない事例が出てきたので、これらの高等教育の低品質化はいずれ問題になっていくことでしょう。

 少なくとも、最低限の論文もない、学識の担保もない人を教授に就けること自体が、本来は大学経営においてハードルが高い行為であるべきだというのはあります。

 それまでも、大学ポスト待ちをしているポスドクさんたちなどを中心に、格安の費用で多数の担当コマを持たせる非常勤講師が乱発された件は問題視されてきたのですが、アカデミアの世界ではそれもまたひとつの通過点という、ある種の「俺も昔はそれで苦労したのだからお前も苦しめ」的な側面もありつつ、根本的には大学や学校法人側の経営の問題で学生に授業を行える教育予算の不足と人員上の問題で起きてきた現象だったと言えます。

 子どもの数が減少し、大学全入時代と言われてからはや10年が経過していますが、それでも大学側は定員が足りないので中国・アジアからの留学生で穴埋めし、しかしなお経営的に厳しいので入学には直接響かない専門性の低い学部生向け授業を割安でこなすことで何とかしようとしている問題は早期に解決しないといけません。

 かくいう私のところにも私が誰だかイマイチ分かってない著名大学から泣くほど安い金額で講師や准教授のポスト打診が来るわけですが、そもそも私はいま新潟大学の後期博士課程に通う大学院生()ですし、ビジネスの点で言うなら冗談かと思うぐらいの薄謝で学生さんの貴重な勉学の時間を埋めろって話は責任や品質に対してまったく割に合いません。

 企業研修などでも半日午後潰す場合は経費を除いて一回50万円から100万円が相場であり、月に10日もぶっ込まれると個人としては月収700万から800万ぐらいにはなるわけですよ。身の回りの弁護士でもコンサルでも、著名大学の非常勤講師と名刺に書けるなら箔付け料だと請けるケースもあるのでしょうが、一線でやっている人間からすればとんでもない金額でしか大学からの依頼は来ません。

 さらに、広域通信制高校では中学で通学や人間関係の問題でドロップアウトして中卒になりかねない子どもたちが保護者の心配をレバレッジに集うケースも増えているのですが、こっちはこっちで、むしろこういう広域通信制高校の側が「こんな優れた教員を集めています」という逆箔付けでお声を掛けてくるケースがあります。

 ただ、ハローワークや人材紹介会社などでも良く問題になりますが、お声がけいただく教員以外で働く教師の皆さんには、ほとんど東京都の最低時給のような金額で募集がかかっていて、また離職率も高いので、人材会社の側もコンシェルジュが薦めてこない勢いになっています。こちらもいずれ問題になると思うんですが、教育に対してかかるコストと子どもたちの学習権亢進というベネフィットを見比べたときに、かなり大変なことになるだろうことは言うまでもありません。

 で、何でこんな話をしているのかというと、最近ばら撒きの対象として、高校の無償化だけでなく大学の一部無償化も議論されていて、東京都では小池百合子さんが都知事として教育無償化を旗頭に都立も私立も無償にしますという政策を進めています。

 私も、小池さんや都議会の方針には一定の賛同はしつつも、身の回りで起きている教育の現場で粗雑でバーゲン的な低品質教育カリキュラムがきちんとした審査や実態把握もないままに放置されている状態で公費で無償化されるのは問題だと思っていますし、貧困でも高校や大学、専門学校に行けるようにするのが政治の使命だというのは原則として賛成はしますがそれを担う連中は経営難の学校法人も含めて問題のあるところが多くあります。そういうところに少子化で学校法人や大学運営が苦しいからと公費で援けるんだって話は本末転倒であろうと感じます。

 突き詰めれば、我が国の初等中等教育から高等教育に至るところで「教育が目指すべき大方針」が緩やかにブレていると、とりあえず公費で教育予算をばら撒けばどうにかなるのだろうというかなり雑な政策になりかねないので着地点を見極めたり、成果をきちんと吟味したりして、客観的なKPIを立てて対応しませんかと思ったりも致します。

 冒頭にも書きましたが、最初は「困っているから頼む」と言われて何と無しに学内コンプライアンスや、若い人たちがやりたいボランティアの手配なども興味本位で携わってみましたが、思った以上に重大な問題は起きますし、きちんとした証拠もなしに子どもに重い処分を学校が下すことには私は反対することも多くあります。教育にカネをかけるというのは、社会の仕組みとしてきっとこれが正しいだろうと思える機能をちゃんと充実させることが求められているのであって、単純に無償化すればみんな助かるんだからそれでいいんだと安易に進めないでほしいというのが切なる願いです。

 画像はAIが考えた『すっごい重要な仕事を任されているが、担う責任に見合ったおカネをもらっていないので、凄惨な現場にいても見て見ぬフリをする構造』です。

神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント