調整不足のまま権力闘争が勃発すると、大概においてろくなことにならない問題
今回海外渡航などもあって統一地方選挙は前半戦も後半戦も調査業務はノータッチで非常に精神的に楽なんですよね。仕事は全般的にキツイのでなんだかんだ時間は山ほどかかってますが、選挙って本当の意味で人の人生がかかっていることを考えると、当選しても落選しても人の浮き沈みに直面するので感受性が強い人は関わらないほうがいいです。
で、このところ当選回数の多い現職が出馬したり取りやめたりする事例が多く出てくる中で、この前の奈良県知事選は多選で高齢の現職知事を降ろす手間を惜しんだ高市早苗さんが、総務大臣時代の秘書官だった手駒の平木省さんの知事選出馬を強行した挙句に無事保守分裂。その間隙を縫って本来なら勝ち負けにすらならないはずだった維新・山下真さんが出口で3万票近く謎の上積みをして快勝。保守王国を誇った割にあっさりお城が陥落した奈良自民県連がお通夜になるという珍事が勃発しました。
なんつーか事前調査ではほぼ誤差ぐらいだったはずの無所属候補が都合3万票も取ってて、このあたりはもう完全に奈良県の保守層が自民党のすったもんだに呆れたパターンだなあと思うわけですね。
他方、江東区長選挙は現職自民の山崎孝明さんが出馬見送り模様だったとはいえ選挙戦突入前に急死され、そのご子息の都議・山崎一輝さんと、元議員木村勉さんのご息女・木村弥生さんとが二世同士の保守分裂という状況になっております。
どっちがいいのかよく分かりませんが、どっちが当選してどっちが落選しても割と将来を嘱望される人が野に放たれることになるうえ、その近辺には柿沢未途大先生もうろついている危険な荒野であることを考えるとこれはもう修羅であります。江東区、なんでこんなにキャラ濃いの。
さらに、東京10区で小池百合子大先生光臨が噂される豊島区では、こちらも出馬を目前としてコロナ罹患で前区長・高野之夫さんが急死。その「後継」として、あの噂の高際みゆきさんが区長選に出馬ってことで俄然ざわざわしております。何といっても高際みゆきさんも小池百合子さんの子飼いと扱われておりますので、これは小池さんが都知事の座を投げ出して女性総理を目指すため再び衆議院議員となり自民党復党するべく豊島区から出馬する布石なのではないかと話題とされても仕方がない面はあります。
新潮でも書かれておりますが、ここでは酒豪伝説と穏やかな武勇伝な感じでの記述となっているものの、私の聞き及ぶ限りでも都庁職員や以前の都庁記者クラブで同席した人たちの間では酔っぱらった高際さんに蹴飛ばされた人多数で、政治的に大成したいなら断酒しとけと言いたくなるような女傑であることは間違いありません。
ただ問題はそこではなく、どうもここで豊島区長・高野さんが高際さんを後継候補としたという話が嘘だったんじゃないかという話が出てきておりまして、まあ周辺の状況を見る限りでは嘘なんだろうなあと思うわけですよ。
1月上旬、85歳と高齢の高野さんがコロナに感染し、軽症ながら入院。そのころはまだ元気で、ほうぼうに電話するなど精力的に活動していた高野さんでしたが、しかし無理矢理退院したところ退院帰宅後の夜に発熱し、咳も悪化してしまってそのまま緊急入院してしまいます。2月に入り、治療がむつかしいとかいう謎の理由で退院して帰宅すると、それまでの高野さんの振る舞いとは打って変わって誰とも連絡を取らず、高野さんの娘さんが連絡の取次ぎをしていた形でした。
連絡の取れなくなった高野さんのご自宅に見かねた小池百合子さんが雪崩れ込んできて全員を追い出した高野さんの部屋で高野さん小池さん二人きりになり、高野さんが「豊島区長の後継は高際みゆきだ」と託したと言って、小池さんが部屋から出てきたというのが顛末です。
ところが、この高野さんの「遺言」は二人きりになった高野さんと小池さんの間のことだけでしか分からず、豊島区選出の都議・本橋弘隆さんら関係先にも「（高野さんがそう言ったのだから）しょうがないじゃない」という話でしかない内容です。
また、小池百合子さんが高野さんの「遺言」としているのは、22月8日に高野さんが出席するはずだった豊島区本会議場で読む原稿のなかに「今後は高際さんへ（豊島区政を託す）」と書いてあったことを指すとみられるものの、この原稿は高野さんによる直筆のものではなかったのではないかとも言われています。
何とも奇々怪々な話ですが、政治の世界ではこういう実力者の子飼いと素の権力闘争との騒動の果てに人間模様が繰り広げられるのが最高に面白いんですよね。
画像は『女帝が子飼いの女騎士を差し向けるも蛮族に返り討ちに遭う騒乱の都市』です。
神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント