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50歳目前にして分かった、深い闇も結局は人が作っていることを

※ おことわり 本稿は、私のメルマガ『人間迷路』号外に収録された記事であり、同じ文章は全文『人間迷路』でもお読みいただけます。

 中村伊知哉さんという人がいて、和装の怪人的ななんだか良く分からない立ち居振る舞いで業界や界隈を泳いで回っていて、危ない案件には必ずと言っていいほど名前が出てくる不思議な御仁なんですよ。

 「話が進まないけど大丈夫なのか」と思っていたんですが、世の中には「検討している状態のまま話を進めたくない事案もあるのだ」ということに思い至ることが多々あり、ああなるほどと思ったわけなんですよね。

 テレビ業界では電波関連の話をし、電子教科書の話があり、良く分からない大学をいきなり設立し、風体からすれば明らかに胡散臭いのだが、人垣の真ん中には常にいるのでなんだろうと思って目を凝らしても、彼が界隈の中心で相応の活躍をしている理由が良く分からないのです。

 ごく最近ある業界のパーテーで彼が記したことや、語ったことを全部出してきて、分析してみると「ふわっとした、おおよそのことしか言っていない」のです。もちろん、総論としては賛成ですよ。ただ、各論に落としてじゃあ具体的にどういう制度設計にして進めていこうかという話になると、そこに中村せんせはいなくなっている。どこに行ったの?

 代わりに出てくるのは、界隈の顔役として活躍している女性や、たぶんあまり羽振りはよくないだろうけど能力的には裏打ちされた人が横から出てきて、中村せんせが適当に立てた掘っ立て小屋の内装をやり、そこに担当省庁の局長や審議官が納まり、会議の体裁だけは整っている。一応の、話は進む。ように見える。

 ずっと「なんだこれは?」と思って目を凝らしていたけれど、ふたを開けてみれば今回の藤井敏彦事件で業界からのお金の流れや、どうしてそういう箔付けをして仕事を進める必要があるのかといった、我が国のお座敷に関する知見が詰まっているのです。いわゆる、大御所仕事をやるために座り心地の良い座布団を用意することの大事さとともに、なんとなく界隈のコミュニティの中核にいて浄銭を集めそれらしい仕組みで政策の方向性を決めることができる(そして生き残る)のは、中村せんせのようにふわっとした立ち振る舞いができる人だけなのだということが分かってきました。

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神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント