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おとぎの国のセキュリティクリアランス

 「何でこの辺だけお前静かなの」と言われるんですが、理由はただひとつ私には無関係だからですよ。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo_sc/pdf/torimatome.pdf

 ペーパー的にはできることが全部網羅されていて、及第点以上にまとまってるよねという評価じゃないかと思っています。

 細かくポツは論じませんが、個人的に「まあそうなんだけど」と思うのは情報の範囲と秘密保持を求める対象者に関する問題です。

 CIメモ書きが仮にトップシークレットと判断されるものだとして、その情報をデリバリーする要員(例えば総理秘書官など)はカバーされるし、そこから情報が漏れることはまずないよねという前提で運用できるようになるのはいいことです。

 ただ、旧民主党のころの反省として、一番厄介なのは問題のある政治家本人が自ら情報を流出させてしまう(トップシークレットと分かっていながら外部に喋ってしまう)ことであり、また、そういう人たちを選抜して中国議員訪問団などとして積極的にもっていこうとする可能性さえもあります。

 なぜ歓待されるのかと言えば、どんな情報にアクセスできる人なのかが事前に割れている場合もやはりあるわけですから、セキュリティクリアランスそのもので言うならばその範疇に議員とその秘書、事務関係者などをいかにうまく網にかけていくのかというところは考えなければなりません。

 また、第二次安倍晋三政権以降でもそうでしたが、筆頭の総理秘書官であった今井尚哉さん経由で官邸内の情報が流出したり、対中国の親書の中身が書き換えられるなどの「事件」もありました。本来であれば、第一級の重大情報漏洩事案であることは言うまでもなく、それによって、国益が大きく損なわれた経緯があることに対して充分な反省と対策を打たなければならないにもかかわらず、その議論が(敢えて)避けられているように見えます。

 そして、重要なものは国家戦略に関わる人たちが、往々にして、御用学者や弁護士、事業家・投資家などのステークホルダーたちによる持ち回りで行われることによって、深刻な利益相反が起きている危険性が強いことです。

 特に、国民の個人に関する情報を国家が制度的にいかに守っていくべきなのかを考えなければならない状況にあるにもかかわらず、積極的に、海外の事業者に、合法に、情報提供するバックドアを作ろうとするケースがあります。そこには、不適切とも言えるロビー会社が介在したり、議員や議員秘書が特定の対価を得てごり押しをする場合さえ存在するのです。

 明らかに国民の持つ固有のプロパティを政策的に海外に売り捌こうとする動きそのものであって、いわゆるセキュリティクリアランスが求めるものはこういう国益を直接害するような制度設計を進める人たちが政府の意志決定中枢に入らないようにすることに他なりません。

 関係先がいうには「まずはこれが必要だから段階的にやる」という話のようですが、他方で、FATF対応だけでなく国内要人のPEPsもままならない状況で海外からの指摘・情報提供を前提に国内の情報分野を維持することは極めて困難であると言わざるを得ず、また、そのような情報をどこの部門で集積させ、誰が善後策を判断するのかも実のところ明確ではありません。

 ただ、何事も100%いきなりということはなく、また、防衛費増額やらNTT株式売却やらNTT法改正やら全然違う思惑に絡めとられることなく本筋を見据えて諸事断行できることが最優先と思いますので、上手く着地することを祈念してやみません。

 画像はAIが考えた『作ってる人は真剣そのものなんだけど、支配される人は凄い制約を受ける一方で支配する人たちは割と適当に情報振り回して威張ってる構図』です。


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