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無事にお墓に辿りついた話

母方の祖父と祖母が眠るのは、千葉にある有名な霊園。
 
この時期になると思い出す。
 
私と家族(父、母、弟2人)は、祖父の三回忌のため、二年ぶりにその霊園へ向かった。
門前に連なる石屋(石材店。お墓を管理してくれているお店)。
ずらりと並んだ中から、迷いながらもお世話になっている石屋を見つけ出し、ご挨拶をした。
 
住職と現地(お墓)で合流する予定だったが、母方の伯父、伯母が少し遅れていたため、両親だけ先にお墓に行き、私と弟(×2)は伯父等がきたら一緒に行こうということになった。
伯父も伯母も、お墓にくるのが初めてとのことだったので、一度来たことのある私たちが案内することになったのだ。
 
「あんたたち一昨年も来てるし、場所わかるよね?」
「番地(お墓の住所みたいなもの)もらったし、大丈夫でしょ」
みたいな会話が、母との間にあったことを記憶している。
 
両親が出発して10分後には伯父伯母が到着し、じゃあお墓にレッツゴーと歩き出した。
春先の霊園は桜も咲き始め、晴れた空に気持ちの良い風が渡っていた。
「天気がよくてよかったね」
「おじいちゃん、晴れ男だったからね」
などと言いながら、半ばお散歩気分で歩いていた。
 
先頭は弟二人。
言い忘れていたけれど、私の弟、上はバカで下はアホなんですよ。
バカとアホが元気いっぱい先導していたのに、ぼんやりとついていってた姉(私)はマヌケなんじゃないかな。
 
当然、「あれ?」という瞬間が来る。(早々に)
「あれ? なんか遠くない?」
「こんなに歩いたっけ?」
「いや・・・ 違うと思うんだけど」
バカとアホとマヌケが首をひねり始めた。
それを見た伯父が「大丈夫、番地をみよう」と助け舟を出す。
なんかごめん。
 
ところが受け取ったはずの番地がない。
たぶんマヌケが石屋の机の上に置いてきたんだと思うんだけど、とにかくメモがなかった。
責められるまえに、「ちょっとお母さんに聞いてみる」と自主的に手を打つマヌケ。
しかし母は電話に出ない。
「・・・。」
一瞬沈黙した後、ポジティブなバカとアホは
「あ! でも大きな木の下だった!」とか
「水が近くにあった!」とか
面目躍如なセリフを吐きつつ、付近の探索を始めた。
ファミコン時代のRPGかな?
 
すると、あったのだ。
「●●家之墓」が! ※●●は当然、母方の祖父の名字
 
バカとアホってすごい・・・ と、このときビビった。
 
「やっぱり大きな木の下だったね」
「よかったよかった、ついたね」
「あれ、でもお母さんたちは?」
先に来ているはずの両親と住職の姿がない。
 
初めてこのお墓にきた伯母が口を開く。 
「ずいぶん、荒れてるね、このお墓」
 
ちゃんと見ると、確かに祖父母のお墓は汚かった。
落ち葉やゴミが散らかり、長年手入れがされていないような汚れがついていた。
「いやでも、お母さんが先週来て掃除したって言ってましたよ・・・」
言いながら私も首をかしげる。
ふと振り向くと、後ろのお墓も朽ち果てていて、ちょっとゾッとするようなルックスだった。
「ここ、こんなだった?」
さすがにバカとアホも首をかしげる。
「ま、とりあえずゴミでも拾って待ってようか」
伯父が明るく提案し、みんながそれにうなずいた。
 
落ち葉を拾い始めた瞬間、私の携帯電話が鳴った。母だ!
「あ、お母さん、いまどこ?」
「あんたたち、いまどこにいるの?」
同時だった。
 
「お墓だけど」
それも同時だった。
 
「お母さんに電話してもでないから!」
「あんた、何回電話してもでないから心配した!」
 これも同時。
 
そこで母に確認したお墓の番地は、現在地とまったく違うものだった。
謝りながら電話を切り、番地を辿って無事に祖父母のお墓に到着。
住職(ちょっと)おこ!
 
無事に着いてよかったんだけど、
・広大な霊園(東京ドーム20個分だって!)の中から
・番地もわからない状態で
・大きな木の下にある
・●●家という同じ名字の
・朽ち果てたお墓に辿りつく
という逆ミラクルみたいなことって、あるんですねー 不思議だなーという話。
 
言い訳を兼ねて住職に説明したところ、
「会いにきてくれる方がいなくて寂しかったのかもしれませね」的な、ちょっとそれ・・・なことを言われました。
 
一連を見ていた父がひとこと
「バカとアホとマヌケが揃ってたからじゃなくて?」
そうかもね!!

いただいたサポートは、現在ですとシルバニアの赤ちゃんかマウントレーニアのクリーミーラテになり、私がそうとう幸せになります♥