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展覧会 岡本太郎 in 東京都美術館

岡本太郎といえば、太陽の塔

岡本太郎を知ったのは、小学生の時に見たクレヨンしんちゃんの名作映画、
オトナ帝国の逆襲でした。
大阪万博から始まる映画なので、やはり昭和の高度経済成長期の日本を代表する一代イベントであり、その象徴だったのだと思います。

岡本太郎の壁画はちょっと怖いのですが、
青山の岡本太郎記念館で見た彼のオブジェや立体はとても愛らしくて、是非ともお家にお迎えしたい可愛らしさと無二の感じが大好きでした。
思えば、初めての東京旅行で青山の岡本太郎記念館に行ったのは、なかなかな選択だなと今になって思います。どうしてそこにいきたかったのか思い出せない。
幼少期に見た映画の影響が長らく続いています。ありがとうクレヨンしんちゃん。

そんな岡本太郎の展覧会を東京美術館でやるということで、秋晴れの中見てきました。
今回はその感想をば。

展覧会 岡本太郎

上野駅から上野公園を歩いていくと現れる、煉瓦造りの東京都美術館。
混雑するので、平日か土曜日の朝イチがオススメです。子連れの方が多かったのが印象的でした。

展覧会岡本太郎に入ってすぐの大きなキャンバスのコーナーでは、美術の教科書で見たことがあるような作品が立ち並んでいます。
強烈な赤と白が印象的でした。大きな作品が多いので、画面から離れて絵全体を眺めるのがいいな、と思いました。朝早めに行ったので人もそこまで多くなかったので、距離を置いて作品を見ることができたのでよかったです。

キャンバスアート、パリ時代の作品、日本の昔から伝わる地方の風俗やお祭り、縄文土器から受けた影響などどのように表現が変わっていたのか、流れがわかります。
パリ時代、岡本太郎が描いた手の油絵で抽象化されていないリアルに書かれた岡本太郎の作品を見て、当たり前ですが「ピカソと一緒でやっぱり抽象画や前衛的な表現を描く人は、きちんとデッサンとかもできてリアルに描けるんだな」と改めて思いました。(超失礼…)

そしてパブリックアートへ

パブリックアート

岡本太郎の印象といえば、クレヨンしんちゃんに始まる太陽の塔や渋谷駅の明日の神話など、パブリックアートでした。
お散歩や旅行の時にたまたま出会う確率がとても多いのです。
「岡本太郎っぽいな〜、岡本太郎やないか!」とあまりにも何気なくあるのでびっくりしてしまうことがとても多かったので不思議に思っていました。
今回の展示で、それが私の引きがいいとか偶然ではなく、岡本太郎自身がそうありたいと信念を持っていたのだと知りました。

岡本太郎は自分の作品をあまり売らなかったそうです。
芸術は太陽のようなもので購入した富裕層や一部の人だけが楽しむものではなく、
「芸術は民衆のもの」という信念が岡本太郎にはあったようです。
過去の岡本太郎記念館の展示概要の言葉を引用すると、

様々な矛盾や困難と闘いながら毎日を生きる平凡な民衆のものであり、そうしたなんでもない暮らしの中でこそ生かされるべきなんだ、と。
太陽の芸術ー岡本太郎のパブリックアート

岡本太郎が残したパブリックアートは、数百点にも及ぶそうです。
駅や公園、百貨店の屋上など、何気ない生活を送る中でいつの間にか出会っている、すれ違っているようなものでありたいと思っていたのですね。
岡本太郎がこうあるべきだと思っていた「平凡な民衆」にきちんと届いていたことに、じんわりと感動しました。

生きるとは「にらめっこ」

最初のフロアに飾られている「にらめっこ」という作品で、岡本太郎の目へのこだわりを知れました。
生き物と生き物の目があう、人間と人間が対峙するということは、真剣な命の交流であると岡本太郎は捉えていたようです。
弱肉強食の中で生きる動物たち、目を逸らすと死んでしまう緊張感のなかで行われる強烈な命。人を見るとまず顔を見る、目があうと思わず反らしたくなる、見入る、凝視する、普段何気なくやっている行為ですが、確かにそこには「命の交流」があるのかもしれません。

戦前、戦時中、戦後、高度経済成長期をあの感性で生き抜いた岡本太郎の歴史を見ることができて、
今まで「芸術は爆発だ」という言葉や太陽の塔のイメージが先行して「よくわからない人」でしかなかった岡本太郎の作品や人となりが少しわかったような気がします。

芸術とは呪術である。
芸術行為は、共通の価値判断が成り立たない、自分自身にすらわからないものに賭けることだ。そして理解されない、「自分ひとりにしか働かないマジナイ」であっても、「それがもしいったん動き出せば、社会を根底からひっくり返すのだ」
展覧会 岡本太郎

岡本太郎の表現はよくわからない、難しい。そう思っていても、そう思われていたとしても、岡本太郎の芸術は確かに社会をひっくり返したのでしょう。
私が矛盾と困難と戦いながら毎日生きる中で、たまたま出会った岡本太郎のパブリックアートに足を止めたように、きっと今日も誰かの人生を、あるいは社会をひっくり返している。

私が作るものも、いつか誰かの人生をひっくり返すことができたらいいな。

物販コーナー


物販でお気に入り作品や心に残った作品のポストカードを買うのが趣味なのですが、
欲しかった作品のポストカードは売っていなかったです。残念…!
私はパリ時代のABCと、東京オリンピックに向けて描かれた作品が好きでした。
展示作品のポストカードというより、太陽の塔のいろんな写真やグッズがあって、太陽の塔が好きな人には嬉しいんじゃないでしょうか。

クッションやフィギュア、いろんな岡本太郎の欠片が民衆の生活の中に溶け込んでいくのを見て、ニヤニヤしているのかもしれません。

鯉のぼりのマグネットをお迎えして、冷蔵庫で機嫌よく泳いでもらっています。

ヤマダ電機オリジナルブランドの冷蔵庫は気持ちいいか?

展示会情報

展覧会 岡本太郎
東京都美術館
2022/10/18 - 12/28

大体2時間30分くらいで会場を出ましたが帰り際には行列ができていました。
美の巨人や日曜美術館で特集されると一気に混むので気になる方はお早めに!


精進します。

切り絵作家 ひら子

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