見出し画像

バームクーヘン焼いてた

ここしばらく夏バテ気味なのか、子どもは元気だが、大人はもうぐったり。
コンテナハウスでバームクーヘン焼いてた頃はこんなにぐったりしなかったのになあ。

私が焼いてた頃のオーナーからの要望

  • しっとり焼くこと

  • バターを際立たせること

1にも2にも、「しっとり」なのだ。
私はそもそも素人なので、料理人のようにはいかないのだが
できる限り、一層一層の表面に熱が通ったら
次の層を焼くようにしていた。
何度もオーブンを出し入れするバームクーヘン、出し入れしていくうちに中の方まで焼けていく感じだった。

私が新オーナーの奥様に焼き職人(この人も未経験の素人だった)を引き継いでから何年も経つ。
オーナーはやり手なので、色んな所とコラボしたり、宣伝活動に余念なし。
引き継いだ当初からそのきらいはあったが、
私の心がけてた(というか旧オーナーからの刷り込み)の「しっとり!」は更新されて
「しっかり焼き」になっている。
新オーナーは和食の料理人で
「しっかり均一に確実に一層一層、焦がさずに火を通す」のが当たり前だったからそうなったんだと思う。

私は自分の焼いたものを自画自賛してしまうが、私に一通りを教えてくれた洋食のシェフもそうしていた、「しっとり」のほうが好きだった。
これはしかし好みだから仕方ない。


「しっとり」焼くのは難しかった。
あんまり生焼けだと、オーブンに入れて回っているときに、生地が全てオーブン内に落ちてしまい、売り物にならなくなる。
またはじめからやり直しなので、メンタルのダメージも大きかった。
早く焼き切らないと、冬ならいいが、それ以外の季節だと時間はかかるし、オーブンの熱で焼いてる自分がやられる。
夏は本当に地獄だった。



コンテナで焼いてるからエアコンは全力だが全く効かないし、焼いても売れる数が少ない。
GW辺りから夏仕様の売り方にチェンジしないと、夏を越すのにメンタルも経費もダメージがきつい。



新しいフレーバーを開発するのは楽しかった。
前オーナーの奥様の好みで「化学的な着色料は使いたくない、白い甘いコーティングは付けたくない」というのがあったので
それでも見た目インパクトは重要だし
ただでさえ焼菓子で地味な見た目なので色を付けたかったんだが
ベーキングパウダーや熱や光で化学変化を起こしてせっかく生地のときにいい色をしていても、焼いてるうちに色がなくなったり、変色してしまうことが悩みだった。

新オーナーのところに移籍してから、
自然由来の着色液を仕入れることができるようになり、たくさん試作ができた。
自然由来の着色液は、問屋から直接仕入れることができず、仕入れを別の業者に頼んで時間をかけなければならなかった。
大きなボトルで仕入れなければならず、しかもかなり強い香りがついていた。
一度にたくさん使うとあり得ない匂いの強さなので、少しずつしか使えない。

新しいフレーバーのボトルが届くと、みんなでワクワクして、すぐ蓋を開けて、色と匂いを確かめた。
匂いは本当に強く、開けるとすぐ感じるので
直接匂いをかがせて咳き込むスタッフさんもいて、そのスタッフさんは咳き込みすぎて肋骨にヒビが入ってしまい、
「ねえねえ、かいでみて!」と鼻先に持っていってしまった私は大変バツが悪かった。ごめんなさい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?